『ひぐらしのなく頃に』を題材にしたアンソロジー短編小説集第7弾。5名の執筆者がそれぞれ独自の解釈によって綴るアンソロジー集であることは今までと同様。執筆陣は1名の初参加の方を除いて皆さん前巻に引き続きの執筆、今回で5回目の参加となる方や、最近4巻連続で参加されている方も含まれており、質的には今まで同様のレベルを保っていると思います。
本編の完結から既に半年以上が過ぎ、独自解釈による先読みや、別設定による昭和58年を描くという要素はやや影を潜め、本編の結末を受けての後日談が初めて描かれていたり、個別キャラの心情を掘り下げる内容が多くなってきています。今巻は特にキャラクター重視の傾向が強く、「想」をテーマとした内容が中心となっています。
但し少しキャラに偏りが感じられるのも事実。特に狙った訳では無いと思いますが、園崎魅音メインと鷹野三四メインのストーリーがそれぞれ2編ずつ収録されており、それぞれ別の観点から、時にコミカル、時にシリアスに両キャラの心情が綴られていますので、それぞれのファンにとっては嬉しい内容と言えると思います。ただ、その分他のキャラの扱いが薄くなってしまっており、ややファンを選ぶ内容とも言えます。特にレナファン、梨花ファンにとってはやや辛い所ですね。
内容的にもシリアス一辺倒と言う訳ではないものの、心象風景の描写が続きますので少しメリハリに欠ける印象も受けました。そんなかなり不足気味のバリエーションを補うかの様に、原作のとあるシチュエーションをパロったドタバタ劇「Wにーにーパラダイス」が収録されているのは上手い所。ただ、ここでもレナや詩音は完全なイロモノ扱いですけどね。
今巻は全体に「静」的要素の濃い、少し偏りを感じさせる内容と言えます。これはこれで悪くは無いと思いますが、次回は是非『ひぐらし』らしく激しいバリエーションを感じさせてくれるような内容を期待したいですね。