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ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫)
 
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ひきこもれ―ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫) [文庫]

吉本 隆明
5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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「ひきこもり」というと一般的に否定的に思われがちだが、吉本はこの現象の積極的な面を自己体験から解き明かす。不登校から話を起こし、子供のいじめ、いじめによる死、大人のひきこもりについて、独特のリベラルな考え方で常識をくつがえしていく手法はいかにも吉本流である。

まず、著者は、自らひきこもりであったことを認めてしまう。それから、自分の少年期の経験に照らし合わせてみて、不登校の子供たちは異常なのではなく、教室に流れる「偽の厳粛さ」を見抜くほど、鋭い感覚の持ち主なのではないのかと思い当たる。

そんなふうに心の内側から光を当ててみると、大人が家にひとりでこもることもあながち悪いことではなくなってくる。コミュニケーション能力ばかりが重要視されすぎているせわしない現代社会で、「分断されない、ひとまとまりの時間」を自分のために持つには、いい機会ですらある。なぜなら「世の中の職業の大部分は、一度はひきこもって技術や知識を身につけないと一人前になれない種類のもの」ばかりだからだ。

随分とさっぱりした結論で、もの足りなくも思えるが、これが吉本流の切り口なのだろう。誰もが考えそうな当たり前のことを、的確に言語化するという凄みがここにはある。団塊の世代に圧倒的な支持を受け、それ以降の世代に吉本アレルギーさえ起こさせた独特の語りが、本書でも十分に味わえる。(金子 遊) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

内容(「BOOK」データベースより)

「一人でこもって誰とも顔を合わせずに長い時間を過ごす。『分断されない、ひとまとまりの時間』をもつことが必要なのだとぼくは思います。一人でこもって過ごす時間こそが『価値』を生むからです」「『孤独』ということを、どこまで自分の中に呑み込んで、つきつめていけるか。その上で、どこまで風通しよく生きていけるか。それを目指していこう」“思想界の巨人”が普段着のことばで語る、もうひとつの社会とのかかわり方。

登録情報

  • 文庫: 192ページ
  • 出版社: 大和書房 (2006/12/10)
  • ISBN-10: 447930066X
  • ISBN-13: 978-4479300663
  • 発売日: 2006/12/10
  • 商品の寸法: 15.4 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.3  レビューをすべて見る (31件のカスタマーレビュー)
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5つ星のうち 5.0 脚下照顧, 2004/9/21
「ひきこもる」「ひきこもれ」これは立派な動詞として一般に通用するようになるでしょうか?
実際のところ、そうはならないにせよ、そうなることを著者は願っているに違いないと思いつつ読みました。

欧米で「イントロバート introvert」(内向的)と言うと、ほとんど病気と見做されると聞いたことがありますが、日本人の在り様は本来内向的なもののように思います。また、そうであることを深いところで許容してきたと思います。昔話しに「三年寝太郎」というのがありますが、あれは、まさに、引きこもりと引きこもりが産み出す力について述べているように思います。寝てばかりいて困った奴と見做されている人物がイザという時、ムクムクと起き出して、困った奴と見做していた周囲の人々の救世主になるという話です。話し全体としては、「寝太郎」を高く評価するものとなっています。

アメリカナイズされた現社会では「エクストラバート」(外向的)志向で、それから外れますと、今引きこもりの人たちがそうであるように、いわば「十字架」を背負わなければならなくなります。

今流行の「グローバルスタンダード」(実際にはアメリカンスタンダード)など、本来内向的な私たち日本人を絡め取り、踊らせようとする動きがありますが、それに無理して合わせようとするのは、「盆踊り」しか知らない人間が「フォークダンス」の輪に、入り込み、連なろうとするようなものだと思います。ぎごちない踊りしか所詮できないでしょう。転ぶのが関の山です。・・・などと、思いつつ私は読みました。

そんなわけで、この著作は、自分は現社会でうまくやっている、うまく踊っていると思っている人ほど、読むに値するものとなる本であるように思います。

そういえば、たいへん印象的な写真も掲載されていました。泣く子も黙る批評家吉本隆明のサンダル、それも決して高価ではないサンダルの大写しです。はたしてそれはなんの象徴でしょうか?
それを解明するのも楽しい試みとなるかもしれません。どうぞご一読くださいませ。

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54 人中、51人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 社交性は人間の能力の半面でしかない, 2002/12/9
私は著者の最近の著作を中心に読んできましたが、その中で一番読者に近い本だと思います。最近マンネリ化していた内容がカバーする範囲とは別の範囲について書くことに成功しています。2時間くらいで読んでしまいましたが、本当にいい本だなあ、いいこと言うなあと思いました。著者が戦後の精神的な混迷にあるとき、彼の好きな文学者たちが慎重に発言を控えていたことが語られており、彼らが何か言ってくれれば自分は少しは楽になれるかもしれないのになあ、ということが書かれています。そして、自分がその文学者たちの立場になったら、沈黙だけは止めよう、と述べています。そして見事にこの本でもって、もっともその思いを遂げているように私には思えます。

ひきこもり、というのは本当につらいものです。そういう条件を持った人間にしか分かりません。ひきこもっている当人にもいったい何がなぜつらいのか分からないんです。だから、戦後の混迷期とたぶん同じなのです。価値観が暗黙のうちにまったく変わってしまって、なぜか分からずに混乱したのでしょうから。それに加え、著者はひきこもり的な資質を持っていた。その二重の混迷を生きてきた著者が語る言葉は、半世紀近く歳の離れた若者たちの混迷に有効な言葉となっていると、私は思いました。

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27 人中、26人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0 僕もひきこもりかも, 2003/9/16
By 
まぁちゃん "幸せな自己成長セラピスト" (東京都世田谷区) - レビューをすべて見る
(トップ500レビュアー)    (VINEメンバー)   
おじぃちゃんから縁側で話を聞いている。そんな感覚になる1冊です。

とてもやさしく心に自然と入ってくる言葉に年を重ねた大いなる知恵を感じました。実際に「智慧の実を食べよう。300歳で300分。」でお話を聞きましたが何を言っているかよくわからないけれど、すごいことを言っている人なんだということがひしひしと伝わってきました。この本でも裏に吉本さんが伝えたい想いが伝わってきました。

ひきこもりでいる時間。一人でいる時間を自分の意志で選択して自分自身にプレゼントをすることを決めました。

きっと人によって伝わってくるメッセージが違います。
それをじっくり味わう本なんですね。めったにない良書だと思います。

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