ひきこもりについて、丁寧なインタビューに基づいた本。
方法論的にはエスノメソドロジー的なので、統計に基づいた客観的検証、というわけではない。
しかし丹念なインタビューから浮かんでくる「ひきこもり」の実態からは、彼らの抱く「実存的不安」の根深さが良く分かる。
「なぜ働くのか?」「なぜコミュニケーションしなければいけないのか?」そうした実存的な疑問を持ってしまった彼らに、「とりあえず外に出ろ」「とりあえず働け」という声をかけるのは間違っていることが分かる。
そしてそうした日常生活のルーティーンから外れた責任は、必ずしも全て彼らにあるわけではない。彼らに「なぜ?」という疑問を抱かせてしまった社会の現状も変える必要がある。
本書では彼らの「なぜ働くのか?」という実存的疑問に答える必要性を説きつつ、明確な答えは出していない。だがそれで良いと思う。「ひきこもり」の人々が持つ背景は人それぞれだからだ。
逆に言えば、世に出回っている「引きこもり対策」は、引きこもりを十把一絡げに扱い、彼らの持つそれぞれの背景を無視してしまっていると言える。