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ひきこもりから見た未来
 
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ひきこもりから見た未来 [単行本]

斎藤 環
5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

自立の名のもとに弱者を切り捨てる社会に希望はあるか。ニートやひきこもりの問題は日本の未来への試金石だ。精神科医の痛烈な時評エッセー。

内容(「BOOK」データベースより)

「不登校児は不良品」と言い放つ経済人。「ニートの親は動物にも劣る」と発言する政治家。「自立」「自己責任」の名のもとに、弱者を切り捨ててゆくこの国に未来はあるか。ひきこもり問題の第一人者である精神科医の痛烈な時評エッセー。

登録情報

  • 単行本: 256ページ
  • 出版社: 毎日新聞社 (2010/6/29)
  • ISBN-10: 4620320064
  • ISBN-13: 978-4620320069
  • 発売日: 2010/6/29
  • 商品の寸法: 19.2 x 13 x 2.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.5  レビューをすべて見る (2件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
以前まで本は、ほとんどアマゾンで買っていたのだけれど、それは新聞などの書評で見たりして、もうこれを買うんだと決めている場合には、家まで送ってもくれるし、とても便利なのだが、何を買うかということそれ自体を、ランキングを見たりして決めようとすると、ほとんどタイトルと表紙、それに帯の文句くらいしか見られなくて、中身を読んでみることができないので、自分の予想とはかなり違った、見当はずれな本を買ってしまうことがわかり、このごろは、せっかく近くにブックファーストがあるから、できるだけそこで買うようにしようと思っているのだ。

この本は、いちおうブックファーストでパラパラと中身も見て、きちんと選んだつもりだったのだが、この「ひきこもりから見た未来」というタイトルから、僕が、精神科の医師であり、「ひきこもり」の専門家でもある著者が、ひきこもりという具体的な事例から、日本の未来について、一冊をとおして論をなしたものかと、イメージしたのとはだいぶ違って、ひとことで言うと、著者がいろんな雑誌や新聞などに書いた、わりと短い雑文を、寄せ集めたもの、という感じだった。
ひきこもりそのものについての話も、もちろん多いのだが、内容に重複も多いし、またひきこもりとはあまり関係ない、政治や、その他時事、についての内容も多く、著者はあとがきで、この題名について、「診療室にひきこもりがちな精神科医の管見、という含意」もあると書いているが、最近こういう、本の題名と、その内容が、一致しないものが多いと思うんだよな、それについては、ちょっとがっかりだった。

ということが、読み始めにいきなりあったのだが、内容については、とくに著者の専門である、ひきこもりの話題についてが、やはり具体的な経験からくる、実感がこもった議論が展開されていて、それなりにはおもしろく、また実際、日本人として、この問題について、無関心でいてはいけないなということを、考えさせられるものではあった。

ひきこもりということについて、これまであまり実態を知る機会がなかったのだが、現在日本には、控えめに見積もっても、41万人のひきこもりがいて、この数にもびっくりだが、さらにその平均年齢が、30歳を超えているのだそうだ。
もう20年以上引きこもって、年齢が40代半ばになっている人たちというのが、なんと10万人もいるのだそうで、彼らはこれからも、引き続き、ひきこもり続けるわけなので、20年後、10万人の人たちが、それまでの人生の全てをひきこもり続けて、年金をもらうにいたる、ということになるというのだ。
それを著者は、「2,030年問題」と称していて、ただでさえも、若い世代が年金をもらうということについて、厳しくなっているこのご時世、一生のうち、一度も働かなかった人が、年金をもらうということについて、社会が寛容でいられるはずはなく、かならずや、大きな問題になるだろうと言う。

またひきこもりは、ひきこもりが長期化するにつれて、親の負担もただならぬものになり、社会的な援助も乏しく、かなり追い詰められた状態にあって、遠からず何らかの形で、それが爆発するということが起きるのではないかとも、著者は言う。
たしかにそれは、深刻な事態で、著者はヨーロッパ各国が採用しているような、「青少年省」のような、独立した専門の役所の部門が、きちんと作られるというようなことでないと、解決されないことだと著者は言うが、そのためには、専門家だけでなく、一般の人が、もっとひきこもりについて、きちんと考えるということが、ないといけないのかもしれないな。

ひきこもりというものが、なぜ一見、あまり大きな問題として、世の中で捉えられていないかということについて、それは日本が独特の側面があるのであって、外国では、社会にうまく入ることができなかった若者は、家にずっと居続けるのではなく、ホームレスになるか、犯罪組織に加入するか、ということが多く、そうなると、社会の人は、それを街角のそこここで、目のあたりにすることになるから、問題として認識されやすいのにたいして、日本では、親が頑張って、家で面倒をみるということになっていて、そうなると、社会の人たちの目からは、一見、問題として見えにくくなっているからだと、著者は言う。
しかしその親たちも、高齢化し、すでに限界に来ているケースも多く、またもしこれから、ひきこもりの親が死んだりした場合、「在宅ホームレス」と著者が称するような、生活能力のない人が、家で一人で取り残されるということにもなりかねない。
まことに暗澹たる未来が、目の前に迫っている、それが「ひきこもりから見た未来」である、というわけなのだ。

という、日本における、解決されなければならない多くの問題のうちの一つでも、これだけ深刻であるのに、政治はそれをきちんと解決するということについて、党内抗争を繰り返すばかりで、その気配も見えないという状況なわけだ。
どうしていいんやら、わからんな。
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形式:単行本
ひきこもり問題の第一人者、精神科医・斎藤環氏による時事エッセイ。
初出は、2000年代後半に毎日新聞と雑誌「Voice」に書かれたもの。

私のように斎藤氏が好きな人にとっては、ニュースで取りあげられるような問題についての氏の見解を知れるので非常におもしろいし、他の著作に比べて読みやすい。だが、斎藤氏を知らない人、単に「ひきこもり」というワードに引っかかって本書を手に取った人には不満が残るのかもしれない。

かといって『ひきこもりから見た未来』というタイトルが羊頭狗肉というわけではない。
斎藤氏にとって「現代社会の諸問題が最もリアルにみえてくる」(P.261)分野がひきこもりである以上、時事を論ずることは、ひきこもり問題の具体的なケースを論じているようなものなのだろう。不登校児やニートはもちろん、飲酒運転も医療問題も、あるいは憲法九条も皇室問題も小泉純一郎もオバマも一見ひきこもりとは関係のない事象のようだが、少なくとも斎藤氏にとってはひきこもり問題と地続きなのだろう。ひきこもりの専門家から見たゼロ年代後半の時評と思えば、斎藤環ファンでなくとも十分興味深い内容である。

「日本の平和的な若者は、社会適応に失敗すると、ホームレスや犯罪者にならずにニートやひきこもりになっていく。」(P.025)
「どんな社会の若者にも「不適応」は起こりうる。ただ社会・文化的背景によって、不適応の形が異なるだけだ。個人の自立に高い価値をおく社会では若年ホームレスが増え、自立より家族主義が優位な社会ではひきこもりやニートが増える。」(P.057)

ひきこもり問題に関しては、上記のような海外比較によってもたらされた新しい視点がある。
たったこれだけ知るだけでも、ひきこもりの捉え方が変わるのではないだろうか。

また「あとがき」には斎藤氏の文章を書く際の「こころがけ」が氏独特の二項対立風に書かれている。
単語だけ抜き出すと...
主張/反応、影響/観察、予測/分析、対立/理解、アイロニー/ユーモア、政治性/関係性、思想<人間、答え<考え方、など。。
この辺の「対」を読み解いていくことも、氏の著作をより理解していくのに役立ちそうだ。
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