登場人物が圧巻である。白洲次郎・正子夫妻,小林秀雄,今日出海,高峰秀子,辻邦生,開高健,青山二郎,井上靖,谷川俊太郎,梅原龍三郎,新田次郎,市川新之助,…ほか小説家多数登場。読めば読むほどその入り組んだ人づきあいの数々と,「一読すると虚実取り混ぜたとしか思えないけれど,おそらく本当にあったであろう不思議なエピソード」がそこここにちりばめられている。伊達宮氏のルポの文体も軽妙洒脱であっという間に一気読みしてしまった。
内容も文体も極上の大吟醸酒を楽しむかのような淡泊で後味がさわやかな読み応え。
ここに登場するのは,古き良き時代の上流社会の人々と言ってしまえばそれまで。ただし,良く読むと,それだけではない滋味深い真剣勝負の正統派上達論も含まれているのが素晴らしい。