只野麦・月咲ゆうを基軸としたハートフルラブコメも、寛緩とした流れながら27巻130話を超えた。
“超展開”と呼ばれるように読者の予想を超えた展開や、複雑な人間関係を網羅することの多い昨今のラブコメ作品の中にあって、この「ぱすてる」は作者・小林俊彦氏が前作「ぱられる」時代以降一貫したスタイルを堅持していることが窺える。時代の風潮や指向に囚われることは無いのだが、それでもきちんとその時代の要素は取り入れることを忘れず、麦やゆうを始めとして彼らを囲むキャラクタたちが、間違いなく動いているのである。
そして、この作品の素晴らしいところは、全体が寛緩とした雰囲気にありながらも、皆確実に前進・成長しているところが見られるのが特長なのである。今巻では、麦のバイト先兼料理の師匠である小料理屋店主・志波哲と居候兼事実婚である園辺あおいという二人の成長が見所である。
このように、小林俊彦氏は脇役キャラでもしっかりと大事に扱うのが好印象の作家であり、自身のコンセプトをもって物語を作っているから、長期連載を保ち続けていられるのだろう。「ぱすてる」は、単なるラブコメではなく、人の成長を寛容な心で触れることが出来る。第1巻から読み直せば直すほど、味わいが増す作品なのである。