ついに上下巻が揃って感無量です。土門青年はてっきり新興宗教の教祖にでもなるのかと思いきや、やや唐突な形で物語は終焉を迎えます。彼はあまりにも優しすぎたのですね…
ある事件をきっかけに土門から傲慢さが消え求道者のようになる。そして自分の城の石垣を築くため、人力で巨石を1つずつ土地に運び始める。土門を導く占い師曰く、「キ〇〇〇にならないと出来ない」というほどの所業です。また、球太という腹違いの弟のエピソードもあります。素直になれない球太を見てると辛くなる。
「一生懸命やったけど俺はダメなんだ」という、土門の父親にも自分はどこか共感してしまった。言い訳と切って捨てるのは簡単だが、これも一つの真実ではあるだろう。父としても夫としても最低の人間だが、彼は根っからの悪人ではありませんでした。
この巻でも問答は見どころで、ジョージ秋山先生の哲学が注ぎ込まれている。ここには奇麗事はありません。結局土門は誰も救えなかったし、彼がいなくなっても、汚い街で人々は当たり前のように日々の生活を過ごしていくだけです。生きるとはいったい何なのか?人の幸せとは…?
上巻での衝撃的な展開からすると刺激は少なく、やや小さくまとまってしまった感はあるが、それでも注目すべき内容はあります。これが最初で最後の復刻になる可能性も少なくないので、気になる人は買えるうちに買っておこう。