まず映像の美しさは、特筆に値します。撮影監督は、実相寺監督作品の多くを手がけた中堀正夫。高知市から西、須崎市・佐川町あたりの風景でしょうか。
監督はアメリカ人、製作はアメリカの会社で、出演者とロケ地の大半は日本という映画ですが、日米双方の視点がバランスよく活かされています。監督は、1年間英語教師としてこの映画の舞台となる高知県に滞在したことがあり、現場を熟知しているとのこと。
ダニエルは、息子が描いた絵を「取り戻し」に高知にやってくるのだが、写真家である彼が、著作権のことを知らないはずがないのに、彼は、息子の絵を所有しているであろう家を訪ね、それをタダで持ち帰ろうとします...。
日本人に偏見のある「アメリカ人」が、日本人に触れて、日本と日本人を理解し、さらには日本に惚れこんでしまうというストーリーパターンですから、後半のシーンを印象づけるために、前半で思い切り「感じの悪い奴」を演じているということは分かりますが、そういうアメリカ人がいたら、日本人も黙ってはいないでしょう。このあたりには、少々違和感がありました。
後半のストーリーの展開を考慮して、あえて「違和感」をあたえるような設定にしたのかもしれないですが、このへんの是非に関しては、議論が分かれるところですね。
ただ、ありがちな設定ながら、平凡な展開を強烈に変える設定が、外国人=黒人であることと、舞台が東京ではなく外国人の姿すら珍しい高知の田舎であること。マイノリティに対する偏見をあぶり出す、この設定は上手かったですね。
全体的に、観せ方がクドくないのが良い。例えば神社のシーンでは、ふと紀子とミッキーを見かけた神主さんが、2人を茶に誘い、そのまま結婚式の世話をする。これを全てセリフなしで観せる。3人の様子・表情だけでそれがチャンと伝わる上手さがありました。