難解でした。正直、よく分からない。にも関わらず、素晴らしいとしか言いようがないところが凄い。
なんだろうなー、すごくごちゃごちゃといろんな内容が雑多に盛り込まれていて…というか、いろんな人がいっぱい出てくる。そして、それぞれにいろいろ、哲学のことや財産のことや性欲のことや生活のことなんかを抱えている。その諸々の考察をいちいち言葉にしているから、複雑で難解な文章になっているんだよね、きっと。それだけでなくて、さらに突然、物語の前後関係とは直接的な関係がないような、ちょっと飛躍したイメージや展開が挟みこまれたりとかもする。
そのような構成のされ方は多少煩わしくもあるし、この小説を難解で複雑なものにしている一番の原因もやはり、そこだと思う。
だけれども、そのデメリットこそ、この小説の一番の魅力でもある。ひとつひとつの言葉に、何というか、力がある。妥協してない。ひとつひとつの場面、一人のひとの思考、ひとつのイメージを再現することに、とにかく全力を尽くしている。そこが素晴らしい。自分の本当に書きたいことは何なのか、本当に書きたいことを表現するにはどうしたらいいのか、一文一文書きながら、作者は模索し続けていたのに違いない。これだけの長編でありながら、最後までそのエネルギーが保ちつづけられたこと、その情熱に感動。
そして迎えるラストの美しさ。「書く」ということは、こんなにも素晴らしい。