初連載作品とあって処女短編集『そらトびタマシイ』と直結した
エネルギーがあります。著者は『リトル・フォレスト』なども含め
八百万の精霊たち、自然への信仰や畏怖をその主題の通奏低音に据えて
いると思いますが、この連作短編にはそれが特に顕著に出ていると思います。
文明により洗練された現代社会の住宅街、路地裏、
その全てのコンクリートの下には、それでもやはり土があるということを
つい僕らが忘れがちな、けれども決して忘れてはならない大切なものを
教えてくれる。
この上巻の中では、特に僕は『ハルノサキブレ』、『虹を織る声』、
『こんな冷え込んだ日には空を見ながら歩かないほうがいい』、
『博物館で月見』、『裏ねこ』、『雲と霧の戦い』に感銘を受けました。