良心的な“正しい”少女漫画。
これを読んだティーン女子が得るものは多いでしょう。
「いくら化粧して香水つけて派手な下着つけても、大人になれない。体に心が追いついてない」
「最近は会ってもHするだけだった。遊ばれてるかもって思ったけど、体を求められれば自分が必要とされてる気になったんだよ」
「私、先生のこと好きだよ。わかってたよ無理なことくらい。手に入らないから価値があるように見えて、欲しかった。でも、目の前に差し出されると、その存在の重みに怯えてしまう」
あくまで10代の未熟なボキャブラリから自然に発せられていながら、時に大人をも唸らせる含蓄に富む少女らの言葉が、心地良くくすぐったい。
“大人向け”少女漫画は幾らもあるが、“大人も読める子供向け(=正統な)”少女漫画は、なかなかない。
フレンチに誘ってくれたイケメン教師を
「先生ってやっぱ大人〜…ってゆーかオッサンみたいなことするね」とからかったのち、
それに凹んだ彼に対し「うそうそ、冗談。ありがとう!」と素直に感謝する。
この奔放さ、快活さ、自由さ、全てが健康的で、知的で、正しく“リア充”的。
漫画が、漫画で得たものが、漫画内だけで完結せず、きちんと現実の空気の中で息づいてゆく。
真っ当な、外向きの希望に満ちている。
構成に拙い部分はやや見受けられるものの、そこから発せられた素直でまっすぐなメッセージには、安野モヨコのようなタフさがある。
ただひとつ残念なのは、この作家が、これほどの才能を持ちながら、主題や企画意図の見えぬ散漫な読切ばかり量産し続けてきている事だ。