赤いとんがり屋根の、さまざまな工房が軒を連ねる職人の街。
そこでの職人とプロップマン(物作り以外の作業を一手に引き受ける補助人)を中心とした、全5話の可愛らしい恋のお話です。
前作「六百頁のミステリー」は田舎の図書館の素朴な雰囲気でしたが、今回は中世ヨーロッパ風のメルヘンな世界観が乙女心をくすぐります。
細かく描き込まれた街並みや人形や香水の瓶が並ぶ店内、女の子たちのふわっとしたドレス(別の日になるとちゃんとドレスも変わっていて、そしてどれもとても可愛い!)などディティールが素敵で、何度でも読み返したくなります。
簡単に各話の紹介を書いておきます。
・トランクドール
(引きこもりの人形職人の女の子と、プロップマンの男の子のお話)
・はちみつとバタフライ
(天才かつ天然な香水職人の男の子と、その香水で地味だった自分を変えられたプロップマンの女の子のお話。表紙の二人)
・ビタースイート
(スキンシップの激しいヒゲの指輪職人と、プロップマンの女の子のお話。……ヒゲ(笑))
・カフェ・コルベイユの恋
(憧れのカフェのピアニストを目指す女の子と、そのカフェのギャルソンの男の子のお話)
・ドラマチック・ドール
(投稿受賞作。運命の恋を信じる女の子と、その子に告白しようとするもことごとくタイミングを逃す男の子。二人の間を恋の成就を助ける不思議な人形が回りまわって…)
少しクセのある職人と、それを支えるプロップマンという設定が魅力的なので、またそれぞれを深く掘り下げたお話や別の職人のお話も読んでみたいと思いました。
夢があって、可愛くて、読んだ後なんだか温かい気持ちになれる、お勧めの一冊です。