小学生を対象とした数学入門『はじめまして数学』シリーズの第3巻にして最終巻。「自然数」「整数」ときて、ついに「有理数」の世界へ。このシリーズは、本来3冊分で1冊の本なのだと思う。しかし、それでは大変な分量(600ページ超)になるので3冊に分けた、という印象。3冊合わせて五つ星。
極端な言い方をすれば、この本、分数の加減乗除の説明をするためだけに1冊250ページまるごと費やしている。著者には、「効率よく計算規則をおぼえさせよう」などというつもりは毛頭ない。計算規則を暗記することになんか何の意味もないのだ。実際、本文中に「本書では、手順を暗記するのでも、証明を追い掛けるのでもなく、実例を体験して貰うこと、数に対する感覚を養い、基本的な法則に対する親しみを持って貰うことを主眼としている」とあった。『数の悪魔』(エンツェンスベルガー 2000年 晶文社)も評判に違わず良い本だったが、こちらのシリーズの方が内容もイラストもずっと良いと思う。
子供相手に本気モード全開。相手が子供だと思って小手先で書かれている本は大人が読んだらつまらないが、子供相手に本当に本気で書かれている本はむしろ大人向きの本よりも面白い。そんな本は、大人が読んでも、あるいは、大人が読んだ方が、面白い。僕はこの本と大人として今出会ったことを幸運に思う。小学生の頃にこの本を読んでいたとして、たぶんこの本の素晴らしさを感じることはできなかっただろう。