仕事上の興味があって手に取った。
筆者は製造技術や電子工学には疎いが、昨今、携帯電話に加速度センサやジャイロセンサなど「MEMS」と呼ばれる電子デバイスが搭載されるようになり、モバイル機器の重要な機能を担っていることから気になっていた。
本書によれば、MEMSとはシリコンチップ上にトランジスタだけでなく、センサや運動機構(=アクチュエータ)など、様々な要素を形成したものである。微細なチップの上に、バネや蝶番、可動ミラーなどどのようにして作るのだろうか。
本書ではまず、MEMSの製造工程=マイクロマシーニングを紐解き、次に各種センサ、アクチュエータの動作原理を解説、そしてMEMSが自動車、情報通信、バイオなどの分野でどのように使われているかを例示してゆく。
専門の先生が手抜きなしでキッチリ書き下ろした感があって、レベル的には工学部の学生か院生くらいなのだろう、細部まで正確に理解するにはかなりの前提知識がいる。しかし、筆者のような素人が読んでも、わかるところはわかる。というより、わかるところだけ摘んで読んでもおもしろい。これが優れた入門書というものなのだろう。
ちょっと怖かったのが、多孔神経再生電極。傷ついた神経が再生するときに穴に潜り込む性質を利用してMEMSと神経細胞を直接繋ぐ研究もあるらしい。これなど映画「マトリックス」の世界だ。
いずれにしても、ITの最新トレンドを支える技術として、IT系の方にもぜひお勧めしたい。これは凄い。