本書は「はじめての」とあるように、本当に分かりやすく解説された漢方医学についての本です。
漢方と言うと難しい薬の名前や、難解な診察体系などがあり、一般人が本を読んでもさっぱりわからないことがあります。しかし、本書ではその一般人の思いを先取りし、要点を押さえて簡潔に解説してあります。まず、全12章ある章立てが、ほとんど一般人が漢方に対して抱く疑問で構成されています。たとえば「漢方薬とはどんなものか」「漢方薬の副作用は軽いか」など。また、薬の名前もその成分と効き目からなっていること、診察の要であり難解な「証」も、人によって異なる病気や治療の「タイプ」であると、単純明快です。紹介される漢方薬も数が限られており、病状ごとにだいたいどの漢方薬なのかということが、大まかにではありますが分かるのも嬉しいことです。
薬や診察法だけではなく、費用や医師の探し方、民間療法との違いなど、漢方に関わる一般人の疑問については、ほぼすべてを網羅していると言えます。漢方診察の現場を再現した対話文が各所にあって、実際の診察がどのように行なわれているのかが明白に分かるようになっていることも重要です。未だ、漢方診療の実態がよく分からない、得体が知れないという現状にあって、この対話文は漢方に対する疑問を払拭するのに大変効果的だと思います。所々、ユーモアを交えているところも好感が持てます。
漢方について分かりやすく、全体像をとらえられるという点で、本書はまさに「はじめての漢方医学」に最適な一冊といえます。今まで、漢方についての本を読んだけどいまいちよく分からなかった、そういう人に特におすすめの本です。