章を出発前の船や海域・船室・旅行会社の選び方、船内での食事・イベント・ドレスコード、寄港地での過ごし方などにジャンル分けし、エピソードを取り入れ、1つずつ初体験の不安を取り除く説明がなされており、どこからでも読者の疑問の箇所より読めるような作りで、好感が持てる。
しかし、著者自身添乗員であるので、旅行会社側の努力をもってしても取り除けない不安についてのようなネガティブな面については、触れられていない。
例えば、英語が主の船内で、言葉が分からずとも本当に楽しめるのかの不安については、その場をエンジョイしましょうとのアドバイスはあっても、言葉の壁で楽しめる部分が減ったり、上手く設備を利用する欧米人に気兼ねして、自粛してしまったり、といったよく聞かれるクレームにページの多くを割いてはいない。
その点と、モデル的な船内図はあっても写真が1枚もないので、1点減点したが、何回乗船したかで序列のようなものができ、ダイニングの眺めの良い席は、その客たちの指定席のようになってしまったり、乗船している有名人に媚を売るお付き状態の客もいる日本船の世界1周クルーズで、精神的に嫌な思いをするぐらいなら、(外国船でも長期の船は、アッパークラスとそれ以外で、使用できるダイニングなど何かと区別されるが)本書の示す短期間の外国船で、何回も楽しんだ方がよほど良い。
スタークルーズが以前日本⇔韓国クルーズを一事やっていたが、気軽に日本人も参加しやすいクルーズがもっと増え、欧米のように短期クルーズもメジャーになれば、それこそ本書は読まれなくなるだろうが、その役割は充分果たしたといってよいだろう。