多分、矢野顕子という人とデュエットするのは難しいことなのであろう。
奔放な歌唱は、ソロでこそ最もその力量が発揮される。
しかし、このアルバムに参加したゲスト達は、果敢にその困難に立ち向かっている。
ベテラン故の力量を感じさせ、同時に年齢を考えると恐ろしいほどに美しいハイトーンの響きで、
真っ向から矢野顕子と勝負している小田和正。
意外にも声がシンクロして違和感が思ったよりもないYUKI。
「Good,Good-bye」「pi po pa」と既に2曲のデュエットの実績があるからか、
どこか余裕を感じさせる井上陽水。いい感じの力の抜け具合が心地良い。
スタンスを崩さずに曲を自分の手許に引き寄せている忌野清志郎(ハーモニカもお茶目だ)。
かつての坂本龍一との「アベック・ピアノ」を思い出してしまった上原ひろみとのピアノバトル。
(腕前は教授よりも段違いでこっちに軍配なのは言わずもがな。)
どれも文句無しに素晴らしい聴き応えのある作りになっている、圧巻だ。
唯一、完全に矢野顕子に負けてしまっているのが槇原敬之の「自転車でおいで」。
歌唱力では槇原敬之に遥かに劣る(失礼)佐野元春との元歌バージョンの方がずっと味がある。
槇原敬之は、自身のソロでは「ごはんができたよ」や「David」等、
決して失敗作ではない矢野顕子のカバー作品を聴かせているだけに残念でならない。
これだけは完全に選曲ミスでは…もっと他の曲で勝負すべきだったと思う。
じゃあ何をって言われても困るんだけど、同じ「グラノーラ」からなら「ふりむけばカエル」などが良かったかも。
本当は「ラーメンたべたい」を押したいけど、既に奥田民生バージョンがいい味出しているので…。