鬼畜な勇者さまによる強くてニューゲームな物語の二巻。今回は上下巻の上にあたります。ゆえに、三巻が出てから読むのもありです。いいとこで終わってますしね。
二巻では、異世界で生活することになった美兎の日常がメインとなります。全体的傾向として美兎からの視点となっているので、異世界での生活における戸惑いや初めての友達たちとの交流、暁月への感謝と恨みが入り混じった複雑な想いなどが多く描かれています。一巻に比べると、暁月への恨みという部分は、ややおとなしくなっているように思います。異世界における自分の居場所を作るために尽力する暁月に対して、自覚の無い好意のようなものを抱いているようですが、そうした感情を持て余していますね。今巻のラストで、かなりのピンチに陥る彼女ですが、三巻において暁月とどう絡んでいくのかが楽しみですね。それによって彼女の立ち位置が固まるように思います。
そして、相変わらずスケベなのにどこか憎めないのが鬼畜な勇者さま、暁月。「女の子の肌色」に遭遇する男の主人公って「なんで俺がこんな目に」的なことが多いのですが、彼は違います。自分から進んで脱がしにかかります。そして、いくら殴られようと意に介さない。ですが、そうしたふざけた姿勢の中に見せる彼なりの優しさやら頼もしさといったものは、光るものがありますね。
ただ、一巻で心配していた通り、強さのインフレはきました。ランキング戦で一巻ではあまりお披露目しなかった実力を見せていくことになるのですが、これが全力なのか、さらに隠し玉的なものがあるのか。文章化する際には丁寧に書いて欲しいですね。こういうのって、短く書いてもくどく書いても駄目なような気もしますし。
BABELランキング戦と、異世界からの追手である勇者フィル。二つの世界それぞれの問題に対し、暁月はどう行動するのか。三巻では激しいバトルの予感もすることですし、期待して待ちたいと思います。
しかし、口絵といい挿絵といい、外で読むのに困る作品ですね。褒め言葉ですけど。