この映画は20年ほど前映画館で見た覚えがあるのだが、当時はさして気に留めるほどの映画とも思えなかった。ところが、最近になって、この映画は当時モデル活動をしていた阿部寛のデビュー作であることを知り、改めてDVDを観ることとなった。
原作は大和和紀のいわずと知れた大人気長編漫画。それを90分の映画にしてしまおうというわけだから、ピンポイント的にエピソードを取り上げて、むりやり結末を迎えるような設定とすることにはやや不自然さを感じる。
また、たとえ原作を知らなくても、何となく先の読める展開(シベリア出兵、大正12年9月1日等)、ツッコミたくなる時代考証、チープなセット撮影(教会の崩壊シーン)など減点材料も少なくないわけだが、とにかくこの映画のいいところはストーリー展開がスピーディーであり、観ていて快い気分となることであろう。丹波哲郎、野際陽子ら脇を固める出演者もいい味を出している。南野陽子も原作の雰囲気を損ねることなく、素直に演じていて微笑ましい。そしてそれらにも増して阿部寛の初々しさが光る。当時23歳。彼はその後しばらく出演作に恵まれず、不振状態が続くので、今や、若き日の阿部寛をDVDで確認できる唯一の映画と言えるのかもしれない。40分余りあるメイキング特典映像もファンにはうれしいことだろう。
この映画は決して名作とは言えないのだが、雰囲気に引きずられるように★5つ献上してしまった。