ほのぼのしたり、ドキっとしたり、心にぐさっときたり・・・。そんな感動の連続でした。
読みやすいエッセイ集ですが、中身はとても深くて刺激的な本です。
本書は、作者独特の純粋な感性で現在と過去の身近な出来事を描写しながら、まっすぐな視線で「人生」を見つめています。というより「葛藤」している表現の方が適切かもしれません。
「転がる香港に苔は生えない」や「謝々チャイニーズ」を読んだことのある星野ファンなら、本書に裏切られることはないでしょう。1,850円はちょっと勇気が要る値段ですが、けっして高くないと思いました。
星野ファンでなくても、読み手のそれぞれの立場によって、いろいろな貴重なもの(違った見方、考え方、感動、・・・)を見つけられる本だと思いました。
あえて気になったことを書きますと、帯の表に「遠ざかる昭和---私たちは何を得て、何を失ったのか?」とありますが、これには違和感を感じました。私の読み方が間違っているかもしれませんが、作者にとっての本書のテーマは「記憶」ではないと思うのです。
同じ理由で、最終章の「よくばりな記憶---あとがきにかえて」にも違和感を感じました。これって、編集者が作者に無理に書かせたものじゃないだろうかと邪推してしまうような、取ってつけたような印象がありました(本当のところはわかりません。間違っていたらすみません)。
でも、こんなことは本書にとっては小さなことかもしれません。それくらい中身のある本だと思いました。
個人的には、星野さんはもっと注目されてもいいのになと思います。のんびりペースでもいいので、長く書き続けてほしいものです。