個人的には凄く良かったと思う。何気に私はミナズキさんが好きなようだ笑。何冊か読んだけれど、個人的にはこれが一番良かった。
少々癖のある画風だけれど、何しろこの方、デッサン力が凄い。特にパースを得意としているらしく、全くの狂いがない。BL作家でこれほど高度なパースが描ける作家はそういないと思う。何気なく描いている風景画も情緒が溢れていて素晴らしい。この本は表紙で損をしているけれど、裏表紙、扉絵の草羽(攻)の和服姿が素晴らしい。しっかりと肉の付いた体躯、筋肉のしなやかさ、男性らしい骨太な指など(それは受でも同じ)、なるほど美しい腕や手だな、と納得させられる。それは働く男の腕であり、自分の歩幅でゆっくりとでも確かに築き上げた信頼や奇跡の証。
それに惚れ込む草羽はやっぱりいい男。『のぼせるからだ』というタイトルは、文字通り“のぼせる体”から成るものだろうけれど、そこに“自惚れから成るのぼせ”や、“お前がのぼせるからだ”という甘い囁きや、“想いが通じたあとの照れから成るのぼせ”など、幾通りもの恋情がリンクしているように思える。心理描写が丁寧で所作や佇まいも美しい。
もうひとつの幼なじみの話もほほえましく、ありがちな展開ではあるけれど楽しく読みました。昔ほどは画風の癖を感じなくなり、確かな技量が裏打ちされたように思います。今後も愉しみな作家さんです。