一瞬、表紙にイラストを使っただけのただの再販本のようにも見えてしまいますが、きちんと村上春樹が関わっている単行本です。
短編「眠り」を改稿して「ねむり」と改題し、作中にイラストレーションが加えられています。ドイツで出版された単行本が元になっていて、イラストはカット・メンシックという方によるものです。
「眠り」はもともと優れた短編で、文春文庫の「TVピープル」や、新潮社の短篇選集「象の消滅」でも読むことができますが、今回の改稿でオリジナルとの違いが楽しめるのはファンにとっては価値のあることだと思います。
短編自体の素晴らしさは説明不要だと思うのですが、それに今回のイラストと装丁がマッチしているかはちょっと疑問でした…。
紙も硬質なものが使われていて、ソリッドな感じの本になっています。小説の繊細な雰囲気にあまり合っていないような気がしました…
このあたりは、新潮社の短編選集のほうが好みではありました。
ということで、ファンなら必読です。他の方には短編選集のほうをおすすめします。