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本書は27のエッセイを、「落第」「戦争」「貧乏」「多忙」の各章に収録しています。少年向けの「のんのんばあ」「アホやろか」よりも文章は堅いですが、内容は拡充されているので、本書をあらためて読む価値はじゅうぶんにあります。
現在は『コミック 昭和史』『ボクの一生はゲゲゲの楽園だ』などマンガ自叙伝や、日経の「私の履歴書」をまとめた『水木サンの幸福論』が刊行されていますが、いずれも都合から省略した箇所があります。筆者についてもっと知りたいと思われた方は、内容がより詳細な本書をおすすめします。
なお新装版の刊行にともない、カバー装画が和田誠から南伸坊のイラストに変わりました。とはいえ、旧版の絵--筆者が目玉親父を肩に乗せ子泣き爺にしがみつかれている--のほうが味があるように思います。カバー装画をのぞけば、旧版と新装版はちがいはありません。
(2/26追記)筑摩書房から昭和44年に刊行された『現代漫画5 水木しげる集』の巻末に、「ねぼけ人生」というエッセイが収録されているのを見つけました。初出が書かれていないので書き下ろしと思われますが、文章が一致することから、この8頁のエッセイが本書の土台となったものと推察されます。
かれは自分が就く仕事でことごとく失敗をするは、ニューギニアの戦地では片腕をなくすは、なんとかつかんだ紙芝居や貸本マンガのブームもさっさと終わるは、極度の貧乏神に取り憑かれるなど成功するまでは苦労の連続だ。だけど持ち前の性格から自分の人生を楽しむだけでなく、さらにマンガでたくさんのひとまで楽しませてしまう。ちなみに昨年の自殺者は三万三千人で史上最多の記録を塗り替えた。これは交通事故による死亡をはるかに上回る勢いである。みんな水木しげるみたいになれば自殺なんてしないのに。
だけど水木しげるのような性格はこれはこれでひとつの才能なのだ。だから教訓をひとつ:幸福というのも才能である。かくして才能のないボクはこつこつ勉強しなきゃならない、ってことを痛切に実感させられた本なのです。ガーーーン!
妙なことが多く起きていた昭和という時代に興味を持ったり、今生きている時代も後から見たら、変な時代かな、と考えたり、いや、時代背景よりも水木しげるという人物の面白さがヘンテコな人や事件を呼んでいるのかな、と思ったり。
とても面白い、オススメしたい本でありました。いやぁ~生きるってエキサイティングだね、とまで言っちゃいそうな本。
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