翻訳という、ことばを生業とするひとの頭の中を覗き見すると、やっぱりたくさんのことばが転がっていた、と思わせる楽しいエッセイ。テーブルにぽんと置いてあったのでちらりと読み始めたら、ツボにはまって声高らかに腹の底から笑って、気付くと、その様子を見ていた家族が向かいで固まっていた。
著者の頭の中の「住民録」、味の悪そうな動物ベスト10、電車の床下のせんべい、蓄積される釈然としない思い・・・よしなに、含みおくとは・・・。
とつとつと、感情にまかせず、勢い込まず、気持ちよいテンポと距離感で書かれた文章がすてきです。
こころにうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくねたのは兼好法師、頭をふとかすめた事象を、このひとは子供の頃からがしっととらえてしっかり記憶の引き出しにしまっているのでした。くふっと笑いだすと止まらない、電車で読んだらあぶない。