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最も参考になったカスタマーレビュー
19 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
せっかくの設定を生かし切れていない,
By YMT (神奈川県横浜市) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF) (ペーパーバック)
他の方もコメントしているように残念ながら面白いとは言い難い作品でした。設定として、私がどうしても許せなかったのは、 1)遺伝子工学が生み出した新たな病気や害虫で人類が滅びかかっているのに それを作ったバイオ企業が相変わらず世界を牛耳っているという不自然さ。 2)遺伝子工学で作り出された高価な人工生命体であるエミコが通関が面倒という理由でタイに捨てられ、ストリップ小屋で働いているという不自然な状況。 (多国語が扱えるため日本企業の重役秘書をやっていたというのに) 3)登場人物が多く非常に複雑な設定を作り出しておきながら、それらが全くリンクせず、力技の内輪ゲンカで終わってしまうこと。 (工場から発生した新たな難病はどこへ行ってしまったのやら) 4)アジアを舞台にしながら、結局、白人至上主義に終始していること。 といった点です。 SF関係の賞は全て白人が選んでいるものですので、この様な歪な作品が絶賛されるのもわかる気がしますが、実態はライトノベル作家クラスだと割り切って読んだ方が良いです。 (日本人でなければ楽しめる作品なのかも知れません)
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 2.0
SFファンでない人間がこの本を読んだら,
By
レビュー対象商品: ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF) (ペーパーバック)
他の方の例に洩れず、「主要SF賞を総ナメ!」という触れ込みがきっかけで買ってみました。それで読んでみたら…ハマれないままで疲れきってしまいました。 現代の化石エネルギーが底をつき、ゼンマイという超原始的手段で動力を確保しなければならない。 遺伝子操作で生まれた巨大ゾウを使役して、非効率的にエネルギーを生み出す近未来のタイ・バンコク。 この舞台装置自体はSFファンでない僕も「お、何だ何だ?」と思って興味を持ったのですが、 最後までハマれなかったのは、たぶん登場人物に魅力を感じられなかったからなのだと思います。 それは疑心暗鬼な登場人物が性に合わなかったのか、タイという舞台によるものなのか、 翻訳との相性がイマイチ合わなかったのか…下巻に入ってもそのもやもやは続きました。 他の方も指摘されているでしょうけど、巻頭に人物紹介がないのはどうしてでしょう? 淀みなく読み進めるためには人物相関図を作った方がいいくらいなのに… SFファンの人なら難なく読みこなせるのかなあ。 世界で評価された面白さが満喫できず、とても残念でした。
28 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
スチームレス・スチームパンク,
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レビュー対象商品: ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF) (ペーパーバック)
この小説をどう評価するのか、結構難しい。というのは、読者がこの小説に求めるものが何なのか、によって印象はかなり変わるからだ。すでに多くのレビュアーの方々が指摘されている通り「ネビュラ、ヒューゴー賞などSF4賞を受賞」という肩書が、いたずらにこの作品に対する期待値を高めてしまっていて、さらにハヤカワがつけたあおり文句「グレッグ・イーガン、テッド・チャンを超えるリアルなビジョンを提示した〜」が拍車をかけてしまう。それなりに面白い小説ではあるのだが、本当のところ先入観なしで読むのが一番いいのでは、と思う。 この物語は、石油資源が枯渇し世界のエネルギー構造が激変、「ローテク化」した未来を舞台にしている。一方でバイオテクノロジーが急進化し、DNAを改変した生物などによって生態系が破壊され地球環境が激変、新たな伝染病が蔓延している。飛行機や自動車といった移動手段はほとんどなくなってしまい、世界を「時間単位」で移動できたのははるか昔のこと。パソコンは「足こぎ」の自家発電で何とか駆動し、インターネットなどもおそらく無くなってしまっていると思われる。代替エネルギーは超強力な新型ゼンマイによってまかなわれ、それを巻いているのは、象を遺伝子改変したメゴドントという生物。ただ、ゼンマイによって駆動する機械などのパワーは、石油エネルギー時代のエンジンの足元にもおよばない・・・。近未来SFというよりは、スチームパンクからレトロな味わいをなくした世界観、といった方がイメージとしては近いかもしれない。 『ねじまき少女』といいつつ、この物語は何人かの登場人物によって展開する群像劇。舞台は東南アジアのタイである。 アンダースン・レイク: 改造型ゼンマイを開発しようとする工場のオーナー ホク・セン: その工場で働く、中国系難民の(かつては豪商だった)老人 “ねじまき少女”エミコ:遺伝子工学によって造られた日本製アンドロイド。 “ねじまき”というのは動きがぎくしゃくしているため、アンドロイドに対してつけられた蔑称である。 ねじで駆動している訳ではない。 ジェイディー: タイ王国環境省の検疫取締部隊「白シャツ隊」の隊長。陽気で快活、いかなる買収にも応じない鋼鉄の男。 カニヤ: 「白シャツ隊」副隊長。暗い過去を持つ、無表情な女性。 物語は、各キャラクターを中心に章ごとに展開。正直、上巻は世界観やキャラクター紹介に項を費やすため展開が遅く、中々物語の全容が見えてこない。何しろねじまき少女のエミコが登場するまで80ページもかかる(苦笑)。上巻で投げ出してしまったという人も結構いるらしいが、それも判らなくもない。ただ、下巻は一気に急展開を迎え、物語のテンポも上がり、けっこう読ませる。 ドラマは、こうした荒廃した未来のアジアを舞台にした、活劇風の物語 ― バイオテクノロジーの利権などをめぐる政治的な陰謀や内戦、クーデターといったものである。熱気にうだるバンコク。屋台が立ち並び、難民が占拠する廃墟のような高層ビルなど、猥雑な雰囲気はとてもよく出ているのだが、実はSF好きがSF小説に求めているものとはちょっと違うのでは・・・世界観の設定がSF、という点を除くと、東南アジアを舞台にした活劇ものの小説を読んでいる気分、といった印象に近い感じがする。たぶん、ここが好みの別れるところなのだと思う。 また、未来の世界観も「リアル」というよりは「奇想」に近く、「グレッグ・イーガンを超えるリアルなビジョン」というよりは、南米文学のマジックリアリスムとSFが融合したようなイメージ・・・何しろ後半では、あるキャラクターに霊が取りつき、その霊と会話をするというような「非SF的」描写が普通に描かれたりして、SF読者の多くは当惑するのではないだろうか(筆者は却ってそういうところが面白かったが)。 作者のパオロ・バチガルピは1973年生まれ。恐らく「マンガ・アニメ」を通過してきた世代なのだと思う。 東アジア学を専攻し、中国に暮らしていた事もあるというが、この小説の中で描かれているものはリアル、というよりはアニメやゲームで描かれる世界観に近い気がする。 ただ、ここから先はSF小説好きの方の多くは異論があるかもしれないが、筆者は正直なところ、「サイバーパンク」以降のSFには苦手意識が強かった。コンピューターやデジタル技術、ネットといった価値観にがんじがらめにされてしまった未来世界のイメージに、不自由さを感じるタイプの人間だった。「デジタル」技術があまりにも便利で、現代人はそれなしの生活がもはや考えられない故に、SFというジャンルから自由な創造力が奪われてしまった・・・『ターミネーター4』で、未来の世界で情報をやりとりする媒体が相も変わらずUSBだったのには、ガックリしてしまった。どんだけ想像力ないんだよ!と言いたい。 だから、この『ねじまき少女』は、SFの未来世界をサイバーパンクの呪縛から解き放った「ポスト・サイバーパンク」の新潮流を提示した、という点において筆者は最も評価したい、と思う。 最後に、出版元のハヤカワに対して言いたいのは、この小説は、特殊な専門用語も多く、キャラクターの名前も憶えにくい。海外の小説を読み慣れていて横文字アレルギーはほとんどない筆者でも、メインキャラはともかくその他の周辺キャラクターは、誰が誰だか判らなくなって一瞬混乱する事が多かった。 ハヤカワが出版していた小説は必ず巻頭に「登場人物紹介表」が記載されていたと思うのだが、いつからそういう事をやめてしまったのだろうか?特にこの『ねじまき少女』に関しては、専門用語の解説表もどこかに記載してほしかった。結構大事です。これがないために「途中で放り出してしまった」人もいるのでは? 今後の課題として。ぜひご検討を。
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