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ぬるい毒
 
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ぬるい毒 [ハードカバー]

本谷 有希子
5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

商品の説明

第33回(2011年) 野間文芸新人賞受賞

内容(「BOOK」データベースより)

ある夜とつぜん電話をかけてきた、同級生と称する男。嘘つきで誠意のかけらもない男だと知りながら、私はその嘘に魅了され、彼に認められることだけを夢見る―。私のすべては、23歳で決まる。そう信じる主人公が、やがて24歳を迎えるまでの、5年間の物語。

登録情報

  • ハードカバー: 133ページ
  • 出版社: 新潮社 (2011/06)
  • 言語 日本語, 日本語, 日本語
  • ISBN-10: 4103017740
  • ISBN-13: 978-4103017745
  • 発売日: 2011/06
  • 商品の寸法: 20 x 14.1 x 2.1 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.7  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 111,660位 (本のベストセラーを見る)
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上京物語 2011/10/11
自分の中身が空っぽだと自覚する二十歳そこそこの女性が、
人を貶めることを厭わないイケメンの「嘘」にのめり込む話。
と書くとわかりづらいんだが、「自分が人に影響を与えてきた」と自覚する、
特異なオーラをまとう無敵のイケメンに対して、
「若さだけがとりえ」と現実的な自己評価をする「平凡な」女子がどのように付き合っていくか描かれている。
世の女性たちのハマりがちな「自分磨き」などに精を出す前に、
23歳までに人生が決まる、と自分の凡庸さを理解し、
客観視してるこの女性こそなんだかそらおそろしい存在だなと思いながら読み進めると、
最後はやはり形勢が逆転するのである。

読んでいるときは女性のドロドロした感情と、
イケメンの卑劣さの応酬で不快なキモチだったのだが、読み終えて一日経つと、
これは一種のふつうの女性の上京物語だったのはないかと思った。
男女の恋愛(のようなもの)が物語の表部分にはなっているのだけど、
ここでは、女が地方で実家暮らしをしていること、
男が東京で大学生をしている設定こそが重要なポイントである。
地方対東京の二項対立がそのまま男女関係になぞらえている。
女が上京するところまで、終始、男優位に進んでいるように見えて、
最終的にはそうでもなかったわけで、全体を俯瞰してみると、女の軸のブレていないことがわかる。
それが、ちゃんとした両親との関係だったり、務めていた運送会社での働き方などにも表れている。

ブレずに生きることはじつはとってもむずかしい。
尖って生きるか、鬱になるしかどちらかしかないような
若者の生きづらさを書いてきた本谷有希子の別の側面を垣間見た気がした。
彼女の本を読んだあとの疲労感はいつものことだが、本書には小さじ一杯分の爽やかさがある。
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14 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
恋愛がまるでスパイ小説みたいな心理的駆け引きになってしまっていて、大変面白く読めた。本谷有希子は映画や舞台も観ているし、いわば異常な人物を描くのが得意のようだが、これは後半でいくらか演劇っぽくなるが、やはり小説でしか描けないものがあるのではないか。
芥川賞候補作だが、あれはあまり面白すぎるととれない、ということもあるので、どうかと思うが、ぬるま湯みたいな恋愛小説よりはよほど面白いと思った。
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10 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By INAVI トップ1000レビュアー
芥川賞3度目のノミネート作ですが、そろそろラストチャンスかなとも思いますが、本谷さんの描く世界がここまで容赦なく読み手を逆撫でするものはないと思いますし、ジワジワと主人公、そして読者が、その毒に侵されていくさまは、甘い毒やきついだけの毒にはない、素晴らしい出来だと思います。

終盤で「ぬるい」という言葉が主人公の口をついたときに、読んでいた自分が受けたショックのすさまじさ。タイトルが、作品世界そのものという実にストレートなつくりなのですが、「ぬるい」が故の恐ろしさは、本当に凄いとしか言えません。

自分は、この作品の登場人物達とは全く違う世界にいると思い続けながらも、150頁もない本を読み進められないほどに、心も頭もかき乱される。こんな毒に満ちた作品には、次にはもう出会えないと思うほどです。「毒」というメタファーとして手垢のついた言葉に、ここまでの意味を持たせる本谷さんには敬服させられました。

受賞の有無とは関係なしに、多くの方に、この「毒」に一度は浸かって欲しい作品です。
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