登録情報
|
畑仕事も一緒にできるし、しみじみ酒も酌み交わせる。
いつしか、おトラばあさんは「どこにもいかねでけろ。ずっとそばにいでけろ」と願うようになる。
老いた女の孤独と愛らしさが深く胸を衝く。
おトラばあさんにとっては、もう後がない、かけがえのない愛。
フィクションでは、若者の恋愛がよくそんな風に描かれる。
が、現実には、そういう愛に出会えるのは晩年である。
「どこにもいかねでけろ。ずっとそばにいでけろ」と願う相手に出会う。
または長年の伴侶が実はそうだったと気付く。
それらは、長く生き抜いた者だけに贈られる人生の醍醐味といえる。
その醍醐味を、大人も小どももこの一冊で味わえるのだからうれしい。
舞台は過疎の進む山村。たいていの人には山村の暮らしなど、外国と同じくらい遠いものだと思うが、私は作中に描かれる村が自分のふるさとであるかのようにとてもとても愛しくなった。登場するじいさま、ばあさまたちの話す方言がひどく懐かしいものに感じた。表題作「ぬくい山のきつね」では涙がこぼれた。
作者は自分自身の大切な「ふるさと」を読者にも体験してもらいたかったのではないか。私はそのことで作者にお礼を言いたい。
一人でも多くの人に読んでもらいたいと思う。
ある日、きつねはおトラ婆さんの喜寿のプレゼントを買いに街に内緒で出かけるが、おトラ婆さんはいなくなったきつねを探そうと無理をして風邪をこじらせてしまう・・・民話系の短編集。
小学5~6年用とありますが、児童文学賞を受けただけあって、大人も十分楽しめると思います。それどころか忘れかけた日本語の威力を思い知らされる作品です。方言も巧みに組み入れているので、読み聞かせに最適。朗読時間、約40分。生活感と季節感の中に人はなぜ生きるのかを考えさせてくれます。
|
この商品のクチコミ一覧
関連トピック一覧のアクティブなトピック
クチコミを検索
|
関連するクチコミ一覧
|
|
|
|