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にせもの美術史―メトロポリタン美術館長と贋作者たちの頭脳戦 (朝日文庫)
 
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にせもの美術史―メトロポリタン美術館長と贋作者たちの頭脳戦 (朝日文庫) [文庫]

トマス ホーヴィング , Thomas Hoving , 雨沢 泰
5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

世界はだまされたがっている!えせギリシャ美術から現代巨匠の贋作まで、欲望と嘘に彩られた「芸術的詐欺」が巻き起こすスキャンダルの数々を、慧眼の鑑定家としても知られる著者が豊かな実体験を交えて語る。あなたは芸術を愛するか、それとも「芸術的詐欺」を愛するか。

内容(「MARC」データベースより)

古代ローマでつくられた似非ギリシャ美術から、現代巨匠の贋作まで、欲望と嘘に彩られた「芸術的詐称」が巻き起こしたスキャンダルは数知れない。元メトロポリタン美術館長にして慧眼の鑑定家が語る贋作者たちとの頭脳戦。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 466ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2002/03)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4022613661
  • ISBN-13: 978-4022613660
  • 発売日: 2002/03
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.2  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 92,033位 (本のベストセラーを見る)
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41 人中、39人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
後書きを読むと3つの章を省略したらしいのですが、それでも翻訳はありがたいと思います。価格的にも、原書のペーパーバックの値段に比べると、まあ安いといえましょう。

ホーヴィングは、ドイツ人のエキスパートを信頼して使い、かつ学んでいるようです。大学でワイツマン教授(ドイツ人の中世美術の権威)に学んだ影響かもしれません。9章のシュタイングラバー、14章のソンネンバーグが著しいものでしょう。
一方、この本では、三枚目の役柄のロリマーは、もともと、メトロポリタン分館
クロイスターズ創立当初の責任者で、大きな業績をあげた人です。
本書のなかで、ホーヴィング自身が遭遇した話、メトロポリタン美術館が直接関係した話には、詳細で興味深い話が多いと思いました。

125頁のメトロポリタン美術館のエトルスクの偽物彫像は、一時ずいぶん話題になったらしいのですが、写真を観るのはこれが初めてです。詳細な経緯もホーヴィングのこの本で初めて読むことができました。

ただ、全体に図版が少ないのは困ります。ミケランジェロのダヴィデ像のように、有名な本物については、画集などでみることができるのですが、議論の対象となっている偽物については、写真図版があまり公表されていないので、偽物の方だけでも写真図版が欲しいところです。本の価格をおさえるためでしょうが、あと5、6点あれば良かったでしょう。10章の聖母子石像の話では、最低2枚、偽物の写真と、そのもとになって破壊された石像の写真がないと、理解できないでしょう。

総じて面白い本ですが、中には、明かな筆のすべり・事実誤認があるようです。教科書的に読まれると困る本だと思います。

例えば、47ー50頁:ベネチアのサン・マルコ寺院の美術品について「最近までビザンチンの代表例だとされていた」というような言い方は不適当のようです。1959年出版の一般向きの画集「サンマルコ:モザイク」で、すでに12世紀以後のビザンチン美術を模倣した様式だと記述されています。また、ベネチアのサン・マルコ教会の宝物には、「コンスタンチノープル、あるいは古代の中近東から運んできたものは四つしかないというのが現在の定説である」は正しいのでしょうか? 3~5世紀の豪華なガラス器だけでも2点以上あるようですから、勘違いか、誤植でしょう。
(ref. 由水、ガラスの道、中公文庫)

75頁、最初の5行のルーベンスの言葉は、絵の買い手のイギリス人のお客さんを案内して、自分の工房の作品をみせながら言った言葉です。商品の説明ですね。背景が曖昧なまま引用されているので、まるで、ルーベンスの告白のように読めます。

96頁 キリコ が自分自身の旧作を贋作した。。という噂。

これはパリの画商とキリコとの決裂と関係がある誹ぼうらしいので、文字どおりにはとりかねます。

254頁:ギリシャ?の青銅製の馬について「X線検査と熱ルミネッサンス法の二種類で調べた。すると、二通りの年代が測定された。」となっていますが、X線では

金属そのものの絶対年代は測定できないはずです。陶器の年代を測定する熱ルミネッサンス法を、青銅の馬に使う場合ですが、内部の焼けた砂を掻き採って検査したのではないかと思います。

ただ、この馬は昔、ガンマ線をあてて、内部を撮影していますから、熱ルミネッサンスで使用する結晶格子トラップ電子がガンマ線で乱された可能性が高く、年代はうまく測定できないと思います。したがって、この年代はあまり信用できません。

「芸術家」という概念のない古代中世における「レプリカ」「コピー」は、制作の技法としてあたりまえのものでした。したがって、こういう時代の「画稿」や「手本」による制作について、2、3章でいう「にせもの」よばわりは単なる「言いがかり」でしょう。

5章以降15章までは、「19世紀以降に作られた、金めあての贋作」 に「にせもの」の定義を限っているようですから、問題はないようです。

一番印象に残ったのは、59頁のチェリオラの墓の話です。怪談としても一流で、この話がほんとでも嘘でもかまわないと思いました。一読、慄然となりました。

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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By ワカシム トップ1000レビュアー
形式:文庫
 贋作や贋作者を取り上げた文献は数多いが、なぜ多いかというと、
はっきりいって素材が面白いからだろう。
 本書は、そういった贋作系の本でも、さらに一歩踏み込んだ面白さに溢れた名著である。
 とりあえず全訳ではなく、有名な贋作者メーヘレンなどの章はカットされていたり、
ある程度の知識がある人を対象としているような感じかもしれないけれど・・・
 しかし、メトロポリタンの名物館長が語る贋作秘話であり、とにかく最初から最後まで
すっごい面白かったので、興味ある人はぜひ読むべし。
 ちなみに絵画だけでなく古代の芸術品とか彫刻の方が多いくらいなので、
絵画の贋作者のみ期待している場合は、別の本が良い。
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形式:文庫
 ニューヨーク・メトロポリタン美術館の元館長である著者が、美術品の世界に溢れる贋作・詐欺について語った1冊である。
 「世界はだまされたがっている」。巨匠自身が手っとり早く稼ぐために行う自身の傑作の粗悪な複製、修復の度が過ぎて贋作同然になってしまった本物、一流美術館に目玉展示品として飾られ続けた偽物の逸話、逆に偽物と思われていたものが後から本物と判明した例、著者自身が実際に出会った人物も含む贋作者・贋作商人の列伝…。19世紀に本物以上に見事なルネッサンス彫刻の模作を作り続け、分け前の少なさに怒って名乗り出た後も名声が衰えなかったジョヴァンニ=バスティアニーニなどは、おそらく最も幸福な贋作者だったのだろう。そして今では、バスティアニーニ作と銘打った偽物を掴まされている美術館や収集家が、きっとどこかにいるに違いない。
 今なお真贋論争が続く作品への判定には疑問を感じる部分もあり、実物の写真や科学鑑定の理論・手法についての解説が少ないなどの不満もあるものの、自身の体験談も織り交ぜた著者の贋作談義は詳細で幅広く、現代だけでなく古代ローマからルネッサンス期・ヴィクトリア時代に至る贋作の歴史、贋作を生む社会的な背景への考察なども興味深い。ちなみに著者によれば、騙されないための基本は、ニード(皆さん欲しがってますよ)、スピード(急がないと売れちゃいますよ)、グリード(お得ですよ)の誘惑に負けないことらしい。その意味でも、「投資」「財産の保全」を名目に投機的な美術品の売買が煽られる現在の風潮には、やはり強い危惧と反発を感じざるを得ない。(遠くない将来、美術品取引がらみの大きなスキャンダルや事件がどこかで起きそうな気がする。)
 一方で、かつては栄光に包まれながら、今は正体を暴かれて美術館の倉庫の奥深く眠る贋作にも、なにがしかの愛情を感じさせられる内容でもあった。
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