いつも彼女の歌を聴いて思うのは、なんて濁りのない思い切りのいい歌声なんだろうということ。それに声音の引き出しの多いこと多いこと。
今回はカバーなしの全17曲。全て彼女のオリジナルで全てが勝負曲。こういうのをずっと待っていた。
ギターは弾かず、唄うことに全身全霊を傾けている。その自由自在な歌声を引き立てるバックの面々もまた素晴らしく、このレコーディングがいかにいい雰囲気だったことがよく伝わってくる録音になっている。特に最近のライブでもおなじみの黒瀬みどりのピアノの響きがとても美しい。
このアルバムを音楽好きの、もうすぐ80歳になる母親に聴かせたいと思った。婆さんにもなると若者の音楽はあまり積極的には聴かないものだけど、この良さはきっと伝わると思った。というか、どの世代のひとが聴いても彼女の歌声の力強さには必ず何か心に「くる」ものがあると思う。
このアルバムで強く感じた昔の歌謡曲や流行歌の歌手が持っていたような歌の力を母親に聴かせて『この娘さん、なかなかやるねぇ』なんて唸らせてみたい。
最後にもうひとつ。
ジャケットや中身の歌詞の手書き文字は彼女の直筆のもの。字は体を表す、または書は人なりなんてよくいうけれど、まさにその通りで、この美しくて清い文字は彼女の作り出す歌の姿勢にもきちんと表れています。
つくづく素敵なひとだなと思う。
※特典の田原俊彦のカバー『ハッとして!Good』も絶品。この難しい曲をここまで歌いこなせるのは彼女しかいないんじゃないだろうか。