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それぞれの話に、いろいろな女や男が出てくるのですが、たぶん、ある程度色々な恋愛をすでに経てきた、筆者と同年代の30代の女性、だけでなく、男性も、読むと何かそれぞれに思うところがある...と感じるのではないでしょうか?
大人の女も男も、と書きましたが、最後に収められているお話の主人公は、大人になりかけの女の子。20代前半の若い女の子達が、この本を読んでどう感じるのか?ということにも関心をひかれます。
本のタイトルにもなっている『なんて遠い海』は、短編というより、ショート・ショート。あまりの意外な展開に、あぜんとしてしまいました...!(読んでからのお楽しみ)この文庫の装丁が、とても内容にフィットしていると感じました。
区切られて並んでいるタイトルも、静かな海の写真も。
その中でも、表題作は秀逸だ。ごく短い話ながら、緊張感と凝縮された詩情で余韻を残す。遠く離島にいる恋人との遠距離電話だと思いこんで、無防備に相手をしている電話の向こうに漂う怪しい下品さ。その後の清澄な会話の、しかし圧倒的な空虚感。悪意ですら、近いゆえにその存在感は確かなのだ。
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