この作家の作風を、ナマな感じで生と死を描いていた前期と、
アムリタ以降のスピリチュアルな力をテーマに描きはじめてからの後期
(現在にいたる)に分けるとすると…
この作品は、後期に属していながら、初期の「キッチン」や「悲しい予感」
「白河夜船」などに見られる、素直な生と死の描かれ方をしていて、オールドばななファン
としては嬉しい短編集になっている。傷ついた魂を癒すのは、超人的な大きな力、とか
人の思念じゃなくて、この本の中だと、沖縄の自然や人々の心、という感じになって
いるので、久々に素直に読みやすいよしもと作品だ、嬉しい!と思った。
沖縄の美味しい食べ物がたくさん出てくるので、お酒でも飲みながらぼーっと
夏の夜に読むと、リラックスできて良いかも。人の悪意、それによって傷ついた心、
その傷の再生、が丁寧に描かれていて、感情の流れに説得力があった。