表紙には血痕がありますが、直接的な暴力や流血はほとんど描かれていません。せいぜい鼻血程度です。
性描写もあるのですが、直接的な言葉でなく「布きれ一枚はさむ余地なく私たちの距離はゼロだった」という調子で表現されています。
怖い話や暴力が苦手な人でも読める内容でした。
夜中にトイレに行けなくて震える類ではなくて、人間の心理の恐ろしさにゾッとする類です。
主人公の妻への想いが、とてもロマンチックな表現で描かれていて私は好きです。
選考委員の選評では「愛の深さのドロドロさ加減が物足りない」という事が書かれていましたが、私には十分描かれているように感じます。
選評といえば、読みにくいという指摘もありました。
「それ」という指示語多いかもしれません。でも、私は気になりませんでしたよ。
不思議と、読んでいるうちにヌメリヒトモドキの妻の愛らしさに私も愛着を持っていきました。
主人公がだんだん狂気に侵されていく姿は見事です。
ホラーだけれども、とてつもなく切ないラブストーリーでした。
最後の一文が秀逸です。
さすが「若き鬼才」ですね。
次の作品も楽しみです。