山田監督、初期の喜劇映画。寅さんシリーズに比べればまだ粗削りな部分もあるが、山田映画の初期の雰囲気を感じるには良い映画だと思う。
湘南に住む厚生省勤務の(あまり出世しそうにない)お役人(有島一郎)とちょっとヤクザな作業員の源さん(ハナ肇)がなぜか互いに気が合い度々会うようになる。「吹けば飛ぶよな男だが」でも見られる、インテリとヤクザな男の交流の物語で、初期の山田映画の特徴かも知れない。一方、倍賞千恵子演じる愛ちゃんのイメージは、どこか「愛の讃歌」のヒロインを思わせるような気がした。
底抜けに人の良い源さんに対し、お役人の家族は対照的に見える。基本的に悪い人たちではないが、心のどこかに差別意識が見え隠れし、お役人の転勤にも単身赴任させる(中北千枝子はそんなお役人の妻を巧く演じる)…山田監督がこだわった社会的な弱者、家族の絆といったものが、既にこの映画にも見られる。豊かさと引き換えに、家族の絆、人と人との絆が失われていったことを、山田監督が描きたかったのだろうか。
だが、その一方で、ラストのハッピーエンドに救われる気がした。寅さんシリーズも、良く列車やバスのシーンで話が締めくくられるが、その原型だろうか?