東洋経済の連載もの(2005年〜)をまとめたものであるようだ。全体としてのまとまりは薄いが、それぞれのテーマ設定はよいように思う。
テーマは、大きく言えば、「終わりに」に書いてあるように、「民主党政権は、追い詰められた若者を救えるか?」であろう。
実際、現在起こっていることをどう見るかについては、なるほどと思える点が多い。
例えば、
・産業がIT化、サービス化する中で、正社員需要が減り(特に高卒)、単純労働をその内容とする非正規雇用が増大
・ポスト工業社会で富を生み出す源泉は、土地や工場でなく、能力ある人間。能力がある人が集中する地域に、富も集中するようになった。
・1995年頃までは日本は「努力保証社会」(努力すれば報われる)。年齢や性別に拠らずトップになれる時代になったが、コツコツ努力することがバカらしいという風潮を生んだ。
・若者の側に、正社員には簡単になれる、ビッグになれる(男性側)、収入の高い男性は簡単に見つかる(女性側)、という誤解があった
・今の若者が行っているのは、自立を目指し、自分の能力を発揮するための競争でなく、既得権(依存先(男性は終身雇用、女性は専業主婦))を得るための競争
・職業や家族にアイデンティティを見いだすことが難しくなっている現在、「消費」と「身体」によってアイデンティティを保つメカニズムが主流になる
・フリーターの取材で感じられたのは、極端な希望と極端な絶望が入り交じった感情
・収入が不安定な男性は結婚相手として選ばれず親と同居したまま歳をとり、収入が不安定な女性は低収入同士で共働きして苦労するよりはと、高収入の男性との出会いを親と同居しながら待ち続け歳をとる(P.96)
ただ、解決という点では、外国ではどうこうという話が多く、日本型の解決を提案できているわけでないこと、また、政府に多くを期待していることから、これを実現しようとすると、スマートな解決があるという気がなかなかしない(特に財政的観点)。
日本国債への信任が崩れないうちに消費税増税を打ち出し、若者や失業者への給付を行い、これらの層をしっかり下支えすることを表明すべき時期が来ているようにも思う。そもそも、税金は取られっぱなしなものではなく、困ったときに助けてくれる、自分の支出を減らしてくれる、という側面が強いわけであるから、その負担は社会の構成員が負うものと思うが、それが受容されるには、まだまだ時間がかかるのかもしれない。