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なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造
 
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なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造 [単行本(ソフトカバー)]

山本 七平
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

日本社会の宿命的構造に迫る!!

日本の混迷を透視していた知の巨人・山本七平。
政権交代しても日本はなぜ変われないのかがよくわかる。
すべての日本人がいま読むべき一冊。
季刊誌『歴史と文学』(講談社)の好評連載、初の単行本化!

内容(「BOOK」データベースより)

なぜ、日本は政権交代しても何も変えられないのか!改革の敵、日本の「官憲主義」を問う。

登録情報

  • 単行本(ソフトカバー): 224ページ
  • 出版社: さくら舎 (2011/12/7)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4906732003
  • ISBN-13: 978-4906732005
  • 発売日: 2011/12/7
  • 商品の寸法: 18.6 x 13 x 2.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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【書評】
 政権交代が生じてもなぜ日本の政治は変わらないのか?本書は1975年に4度にわたって連載されたものを編集したものである。本書の指摘から35年以上経った今でも、その内容は今日の日本を考える際に極めて有効である。本書の価値は、「民主的か非民主的かを超えて」、民主主義に対峙するものとしてひと絡げにされて来た、官憲主義と全体主義という本来異なる二つの政体間の循環によって日本政治を捉える点だ。天皇機関説排撃運動や民法典論争、開戦時と終戦時の新聞の記事などを通して、この循環を明らかにする。
 私たちの社会を包み込む「通常性」という規範こそが変化を拒むもである。しかし本書が明らかにすることは、官憲主義がもたらしたその「通常性」に立脚しない思想、制度や組織は、いくら外形的な形を整えようと、しばしば、全体主義化=総政治化によって国民から排除の対象とされたことだ。その繰り返しによって日本政治を捉える本書は、社会変革のため、国民の「通常性」に根ざした政治をするための土台を提供するものとなる。
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16 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
政権交代は、国家という(現在では)もっとも大きな
単位組織の変革のはずです。しかし、それがなされても、
私たちの生活にさしたる変化も見られません。それは
なぜなのか?そういった気持ちでページを繰りました。

著者は、「日本には組織(システム)という概念がない」
と言います。あるのは「家族(ファミリー)」だと。
これは、昨今の上場企業による不祥事などを見ても明らか
で、トップが変わってすら、組織が変容することはない
のです。そうしたことを、30年以上も前に指摘していた
山本七平という人の考えはすごいと感じました。

トップが変わっても組織は変わらないのが事実だとしたら、
これほどショックなことはありません。しかし、問題を
解決するとき、原因がわかっているといないとでは、
得られる結果に大きな違いが出てきます。その点で、
本書を多くの人が読むことによって、「官憲主義」とは
何なのかを知り、それを打破するためにどうしたらよい
のかという知恵が生まれることを期待します。

最後にもう一つ。技術上の開発が体制を変革することも
あるという点で、石炭・石油の出現が人類の歴史に大きな
変革をもたらしたように、石油の消滅・原子力の出現が
同じような変革をもたらすのではないか、と著者は書いて
います。執筆当時、石炭・石油に原子力がとって変わる
という意味で書いたのかもしれません。しかし、現在を
生きる私たちには、この言葉が違う意味に感じられる
というのも、山本七平の筆力によるものなのではないか
と感じました。
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生物学に興味をもっている方ならご存知だと思うが粘菌類という奇妙な生物がいる。彼らは通常は単細胞生物として生きているが、食料が枯渇してくると集合して一つの意志をもった多細胞生物のように変身するのである。彼らの生態は原始的な単細胞生物がなぜ多細胞生物へと進化したのかという大きな謎にも関係している点で非常に重要な生物だと考えられている。ちなみに粘菌類は、あの南方熊楠が生涯の研究テーマとしたことでもよく知られている。

いきなり変な感想だなと思われるかもしれないが、実はこの本を読み終わったあと粘菌類を思い出さずにはいられなかったのである。山本氏によると、日本人というのは通常は非政治的で自由な生活を送っているようにみえるのだが、大体15年ぐらいを周期にして突然変身し総政治化してしまう、おかしな習性をもった民族だというのである。特に戦前から戦後にかけ(すなわち山本氏が生きたその時代であるが)、日本人はそのような奇妙な周期の中で変身を繰り返してきたという。

戦前は昭和10年頃(ちょうど美濃部達吉の天皇機関説がやり玉にあげられた頃)を境に日本人はいっせいに総政治化していった。それまでは組合のストライキなんかも平気で行われるほど自由な国だったのが、突然に全体主義の国家へと変身してゆくのである。そしてそのまま絶望的な戦争に突き進んだ末に昭和20年8月15日を迎える。すると今度は何事もなかったかのように日本人は各自自由な個人に戻って生き始めるわけである。ところがそれからしばらくすると、今度は1960年の安保反対闘争にかられて国民がまたもや総政治化しはじめる。しかし、結局安保条約が自動延長となると国民はまたもや、何事もなかったかのように元の通常の自由な個人に戻って経済活動にいそしむようになる・・・・。

そういえば私の記憶の中でも70年安保の際にも学生や学者、知識人、マスコミがベトナム反戦運動に連動して総政治化していった時代があったが、その後には過去のパターン通り、いつのまにかシラケ時代といわれる個人主義の時代になっていたことを昨日のことのように覚えている。山本七平が本書の論考をしたためたのは、その70年安保後の政治熱が冷めて、総政治化した国民がまた元の自由な個人の生活に戻ろうとしていた、ちょうどその過渡期であったと思われる。

ただし、その後の日本人をみると、山本氏が本書で15年周期の規則性があるといっていたほどには、かつてのように総政治化するといった顕著な例はないかもしれない。それは日本人が過去の失敗を少しぐらいは学習し得た結果だったのかもしれないのだが・・・。しかし、本書の最後の結論は現在の日本にもあてはまる驚くべき洞察があることは疑いえない。

おもうに日本人というのは、(良い意味でも悪い意味でも)まさに粘菌類と同じように、独立した「個」として完結することはなく、いつも奇妙な有機体の一部としてしか生きられない民族なのであろう。だから日本には本当の意味での組織というものも存在しない。なぜなら、すべての人は個人として生きているのでなく、家族や会社という疑似有機体(「家族的共同体」)の一部として生きているからである。日本の組織は欧米的な個々の部品に分解できるような組織ではない。その結果、状況の良い時は力を発揮するかもしれないが、状況が悪くなると死ぬ(解体する)ことさえもできずに、ただ植物人間化していつまでも無意味に生きながらえるという宿命をもっている。そのよい例がかつての日本軍であり国鉄であり、最近では日本航空や東京電力もそうかもしれない。官僚という名の組織もそして政治家集団の組織(政党)もおそらく同類なのだろう。それらはたとえ無用の長物となっていても、決して解体することはできず、いつまでも生きながらえるのである。そしてある限界を超えると、かつての山一證券の倒産時のように「社員には責任はありませんから」という(日本人以外には意味の分らない)名言(迷言?)と共に突然の破局を迎えることになる。

こんなことを書きながら今日もまた身震いするようなニュースが飛び込んできた。あの松下幸之介のパナソニックがなんと7800億もの赤字をだし、世界のソニーや優良企業のお手本のようなシャープもまた2,000億以上の赤字をだしていたという・・・・。

粘菌類は生活環境が苦しくなると周期的に個の生活を捨てて集団に回帰して苦境をしのぐという知恵をもつ不思議な生き物でもある。次にやってくるはずの日本人の総政治化は、まさに今現在胎動中なのかもしれない。

補足:本書は75年頃某雑誌に連載された文章をはじめて単行本化したものだそうである。その理由は、まさに今の時代に即しているという刊行者の判断があったのだろう。
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