自立できない若者の急増の背景に何があるのかを、教育という視点から探った興味深いレポート。成績優秀でも就職で失敗する若者、社会に出ることをあきらめ引きこもる大人、思春期外来には大人があふれ、学校は、不登校、いじめ、学力低下、校内暴力、非行といった問題で混乱している。この書は、こうした問題が、なぜ起きるのかを、一刀両断に説明してしまう。その答えは、一言でいえば、その子供の特性に合わない画一的な教育が行われ、自立のためのトレーニングがなされないからだということになる。
子どもの特性で、この著者が重視するのは、情報処理のタイプである。人には、大きく三つの情報処理のタイプがあるという。「視覚空間型」「聴覚言語型け「視覚言語型」である。それぞれのタイプには、各々適した学習の方法があるが、これまでの教育は、それを無視しているという。オランダ、フィンランド、スイスなどの先進国では、そうした特性に配慮した教育が発達してきたことによって、子どもはスムーズに自立できるという。
日本でそうした画一的な教育が維持されてきた理由として、著者は、東洋的な中央集権と官僚主義を指摘する。著者によれば、日本の中学教育は、三十年前にすでに破たんしている制度だという。読んでいるうちに、段々義憤がわいてくる。日本の子ごもは、かわいそうだという著者の意見に同感したくなる。
バサバサと一刀両断してくれるので、読んでいて実に爽快であった。批判だけでなく、きちんとどうすべきを提起しているところが、またいい。やはり、今日の停滞の根源は、教育にあったということか。