なぜ、日本にキリスト教が広まらないのか。これは欧米諸国やアジア諸国からの宣教師ならずとも、少し考えるキリスト者なら、必ず直面する問題である。
この本は、日本の福音宣教が、札幌農学校を基礎とする札幌バンド、熊本で始まり、同志社の構成へとつながった熊本バンドにしても、武士階級から始まったがために、大衆伝道へとつながるきっかけをうしなってしまったこと、ドイツ神学の過大な影響、戦争中の政府との関係のとり方との失敗、戦後の復興での学生中心の伝道、学生信徒の卒業に伴う信仰の卒業の結果、キリスト教に惹かれつつも、キリスト教化していかない日本の現状をある側面から切り出しているように思う。
そのことを指摘した上で、賀川豊彦型の神の国型の伝道の重要性を著者は指摘している。この主張は、傾聴に値すると思われる。
但し、講演会の記録を中心に編成した本であるため、主張の重複が目立ち、時に読む気を失わせる。しかし、日本におけるキリストを伝えることの意味を考える上では、非常に参考になる視点を与えてくれる。牧師であれ、信徒であれ、日本のキリスト教の問題、伝道しようとする人は、まず手にとって自分の姿を省みるために読んでおいたほうが良い本であると思う。