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なぜ教育論争は不毛なのか―学力論争を超えて (中公新書ラクレ88)
 
 

なぜ教育論争は不毛なのか―学力論争を超えて (中公新書ラクレ88) [新書]

苅谷 剛彦
5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

「ゆとり」か「詰め込み」か―いつまで二項対立の愚を繰り返すのか?いつまで「左右対立」の図式に乗るのか?観念論を排しデータに基づく政策科学を志す、まったく新しい教育論。

出版社 黒田 剛史, 2003/05/21

教育の論じ方を変える
「実は、今回の「学力低下」論争の渦中で、従来の対立軸を無効化し、そこに隠された現実を露わにしようとして闘ってきたと思われる論者が一人いる。苅谷剛彦である。(中略)私は、苅谷を宮台真司等と同じく、「壊し屋」(クラッシャー)だと考えている。転換期にはまず、古い建物を壊すことが必要になるのではないか」(中井浩一編『論争・学力崩壊2003』序章より)
「ゆとり」か「詰め込み」か――いつまで二項対立の愚を繰り返すのか? いつまで「左右対立」の図式に乗るのか? 観念論や「べき論」を排し、データに基づく実証的政策科学を志す、まったく新しい教育論。
 学力低下論争の渦中で、いち早く不平等社会化に警鐘を鳴らしつつ、新しい対立軸を露わにしようとしてきた著者が、いま教育の論じ方を変える。
『論争・学力崩壊2003』(中公新書ラクレ)と連動企画。

登録情報

  • 新書: 294ページ
  • 出版社: 中央公論新社 (2003/5/10)
  • ISBN-10: 4121500881
  • ISBN-13: 978-4121500885
  • 発売日: 2003/5/10
  • 商品の寸法: 17.2 x 10.8 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.6  レビューをすべて見る (7件のカスタマーレビュー)
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形式:新書
 私は、日本の教育界の現在進行形の問題点を考える時は、たいてい苅谷剛彦の著作を読むことにしている。文章が読みやすい、ということもあるが、何より苅谷の第一の関心事が、教育と社会階層の格差(=露骨に言えば、金持ちの子供ほど高学歴)の問題だからである。そして、この格差は、ゆとり教育によってさらに拡大しつつある。学力低下は、社会階層が低い仮定の子供ほど深刻である。

 この問題を差し置いて、「分数のできない大学生」とか騒ぎ立てても、それは単なるセンセーショナルな問題で終わってしまう。不毛である。

 さて、本書は書き下ろしも含まれているが、読売新聞や中央公論などのメディアに発表した文章がゴッタ煮的に寄せ集められている。本人の言葉を借りれば「予定外」の本であり、「『学力低下論争』からの訣別の書」(本書 あとがきより)である。

 苅谷氏は、「本当の学力とは何か」と言った定義論や「教育はかくあるべし」といった当為問題には踏み込まず、文部省などの実証的なデータ、測定可能なデータのみを問題とする。

 もうひとつ、本書における苅谷氏の大きな論点のひとつは、「子供中心主義」教育への批判的なスタンスである。苅谷氏によれば、そもそも「自ら学び、自ら解決する」と言ったゆとり教育の目標は、本来ならばエリート教育の理念であり、誰にでも身につけられるものではない。

 それに、「自己実現」などという考え方も、ごく一部の華やかな職業に付く人だけが手にできるものであって、「決して階級フリーな考え方ではない」(本書 P252) しかし、それを全国一律に、すべての生徒に身につけさせようとする、また身につけることができる、とするところに、大衆教育社会の悲劇がある。

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By
形式:新書
これまで短絡的につなげられてきた教育議論の矛盾を指摘、整理し、

かつ、これまで見落とされてきた新たな「問題同士の関係性」を端的に解説している。

平等社会ではなく、「よりましな不平等社会」へ。

「生きる力」に代表される一律の新しい学力観は、子どものそもそもの知的水準の差を考慮に入れていない。

さらにその結果、社会の雇用システムの現状と比較して、「自己実現アノミー」が生じている。

学校ではぐくまれる「個性」は、学校が持つ「隠れたカリキュラム」に準拠するものを逸脱しない。

データによる評価がなされず、理想論から現実論に戻りきれていない。

教育基本法に代表される現代ナショナリズムは、「公」のレベルの多様性(世界レベル、国家レベル、地域レベル、NPOレベル等)を無視している。

などの指摘がある。

発刊から4年たった現在、ようやく全うに受け入れられつつある論のように思う。
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4 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By BCKT
形式:新書
 経年的に題名だけを追っていくと彼の教育に対する姿勢の変遷が分かる。つまり,教育の「ゆくえ」,「危機」,「幻想」ときて,本書の「不毛」。この「ゆくえ」はひらがなで書いてはいるが,“迷走”と読むべきだろうから,苅谷は現代日本教育の「ゆくえ」(迷走)を憂慮し,「危機」を言いたて,ついにその改革が「幻想」だと見抜き,改革論議が「不毛」と言い放ったと言える。起承転結(!?) 本書は,第1部の一部「もう学力論争は終わった」(中井浩一との対談)と終章(書き下ろし)以外は全て,『毎日新聞』『読売新聞』『論座』などの既出(記事)雑文を編纂したもの。学力低下論争との「決別」の書であり,これで一応の手仕舞いとする著者の態度を象徴する編集である。“起承転結”という私の一言まとめもあながちギャグだけではない(と思う)。
 
しかし,彼の『階層化日本と教育危機』まで本当に教育統計を用いた本格的研究はなかったのだろうか? もしそうなら,驚かされる。いかに教育社会学が経済学的ウィリアム・ぺティ以前であったかが偲ばれる。経済学は経済実態にあんま効果を持たないが(持つのは経済制度の創出・改変に向けられた政府政策),教育学はそれ以下だったんだね。

少なくとも苅谷は,自主的思考重視の寺脇研とは反対で,知力重視の齊藤孝,斉藤兆史,榊原英資,和田秀樹らの側に属すると思う。しかし,社会的なインフラとしての教育を考えており,保護者の経済格差がその子供たちの学習格差につながってはならないという強い思いが明白だ。宮台真司は「苅谷の立論は、経済決定論的であり、受験する側=児童・生徒の『動機付け』への考察が全く欠如しているとして批判している」らしいが(Wikipedia),宮台さん,なんで東大出てるのに,地方大学の研究者が地方新聞で書きそうな頭の悪そうな発言したんですか? それとも,Wikipediaに記事書いた人の要約が悪いのかなぁ。苅谷の姿勢は学者として至極当然で,人格的な正義さえ感じられる。

いろいろ叩かれて悔しい思いをしたんだろうけど,バカに味方する奴なんかいません。自信を持って社会科学的手法で日本の教育をドンドン検証し尽してください。応援しているぞ。(1148字)
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