「非効率な組織に対する処方箋として採用されてきた民営化
やアウトソーシングが、逆に問題に対する対応力を失わせて
いる」との指摘は頷けるものであり、アメリカにおける豊富
な実例(社会保障制度やハリケーンカトリーナ)とともに説
得力のある分析が行政組織全体に対してなされている。
これはアメリカに限ったことではなく同様の政策を取ってき
た日本にも言えることである。アウトソーシングすることによ
って委託する政府が分析力やコントロール力を失っていく事態
は福島原子力発電所事故によって明らかになった我が国の原子
力政策にも言えることである。
上記のような事態に対処するために著者が提唱する7つのリ
ーダーシップ論は抽象的であるが故に様々な組織に対応する有
益な考え方である。既存組織と発生する問題のミスマッチその
ものに問題拡大の原因があるとするならば、一般的な原則に
基づいて詳細なリスク分析と対応シナリオを練ることしかでき
ず、対応シナリオを作成することができるのも当事者自身しか
いないのかもしれない。