「なぜか日本では百年ごとに実話怪談が流行っている」という東雅夫さんの主張ですが、結論を言うと間違いです。根拠は本書の巻末にある日本怪談文芸年表が、ほぼ毎年埋まっている事(笑)
東雅夫さんのいう200年前の怪談ブームというのが、1804年から1825年に跨っているのもおかしい。20年以上も期間を設けていれば、ブームとやらが重ならない方が不思議ですよね。
では100年前の怪談隆盛期はどうだったのか、1900年の泉鏡花「高野聖」に始まり1929年の江戸川乱歩の「押絵と旅する男」までを網羅、その期間は約30年です。
では、三百年前・四百年前は......という小見出しで東さんは以下のように書いています。
三世紀前の1704年は、ちょうど元禄から宝永に開眼された年である。〜中略〜浅井了意の「伽婢子」(1666)に始まり 〜中略〜 碩学・林羅山が中国の志怪小説を編訳した『怪談全書』(1698)あたりが、めぼしいところか。
なんと!32年もの期間を設けたのに、肝心の1704年にはかすりもしていません(笑)100年周期説について書かれた箇所は無視してください。
本書の正しい使い方は怪談カタログって事になると思うのです。しかし、この本を手に取るような人にとって、既読の作品ばかり紹介されているような気もします。