この本は騒動の「検証」になっているのか、疑問に感じた。
検証というより、この本が書かれた当時未発表だった「ピカッ」をお蔵入りさせないための、Chim↑Pomによる「あがき」に思える。
ただ、そうした「あがき」は見苦しくもあるけれども、制作をする者にとってあるべき「熱意」でもあり、作品に対する真摯な態度だとも受け取れる。制作者はこれくらい図太くあるべきなのかもしれない。
またこの本を通して、さまざまなアート関係者の作品やテーマに対する思いや姿勢、また被爆者の方々の思いが伝わって、面白く読んだ。
しかし、、、私にはChim↑Pomの平和への「思い」が伝わって来ない。
知人である評論家から、Chim↑Pomは平和や戦争、原爆に対して真摯な気持ちをもって制作したらしい、彼らは真面目なのだ、、、という評価を貰っているのは理解できたが、では、どういう思いで制作したのかという具体的な部分が書かれていないのだ。作品コンセプトと呼んでいるほんの半ページ分の企画意図は掲載されていたが、予想外に薄い内容で、読んでさらにガッカリした。
この書籍全編を通して、Chim↑Pomは真摯な気持ちで取り組んだことを強調して書かれていたが、真摯だったのは「作品」に対してであって、広島市民や被爆者の方々、平和や戦争というものに真摯であったとは思えないのだ。
Chim↑Pomと原爆をつなげるエピソードは、メンバーの1人である卯城さんが子供のころに「はだしのゲン」を読んだこと以外に説明されていない。「広島とは縁ある」とか「卯城は戦争や平和に対して考えてきた人だ」という具体性の無い表現は、そこはかとなく思慮深そうな雰囲気を漂わせているだけに思える。
とはいっても、私は必ずしもすべてのアート作品にメッセージ性が必要だとは思わない。
アーティストなら、「こういう表現をしてみたかった」でもいいのではないだろうか。もし思いつきでやったのなら、どんなに批判されても、堂々とアートとして発表すればいい。
感覚、思いつき、ピンときた、、では許してもらえなくて批判されたのかもしれないが、広島の空にピカッと書くなら、それくらい批判される覚悟を持って挑んでほしかった。
騒ぎを振り返る本を出版するのであれば、自分たちの問題から一歩引いて、アートや広告デザインなども含めた全体の問題として検証して欲しかったなと、残念に思う。