現役ばりばりの法医学者が書いた本書を読むと、法医学者が刑事ドラマで重要な役回りを占めるドラマ(著者も多く監修しているそうだが)が多いのもうなずける。第一章の最後にある「死因究明クイズ」を見ると、死因って意外なところから出てくるんだなと思う。無粋な正解発表はしないが、「一問出来れば法医学者の素質あり」というよいしょに乗っかって、簡単な一問目に「こんなもんか」と思っていたら、三問目の衝撃の正答に唖然。検死不足が問題になっているが、ほんとに法医学者が見ないと分からない死があるし、「人は嘘をつくが、死体は嘘をつかない」という格言が重く響く。
風呂で溺死する人が年に一万人いるというのもちょっと驚き。脳出血の既往歴がある人はもちろんだが、飲酒、食事の直後に入浴して、くらくらっと失神し、そのまま頭まで沈んじゃう人が相当いる。アルコールと熱湯で全身の血管がマックスまで広がると、脳へ血が回らなくなって気が遠くなるとか。睡眠薬を飲んで風呂に入る、これも何考えてるんだと思うがいるらしい。風呂で寝るのは気持ちいいが、本書を読むとぞっとする。交通事故より死んでいるのだから。
自殺や性行為にまつわる死など、特異な死もかなり解説されていて、「人間、何で死ぬかわからない」と人の死に様の多さを思わずにいられない。