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24 人中、22人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
社会学や心理学としても面白い,
By marie☆ (Yokohama) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF) (文庫)
著者は心理学者で、人は偽の記憶を作ってそれを真実だと信じることがあるか、という研究をしてきた。学生の頃はレイプを題材にし、批判をあびた。その後、レイプほど話を聞くのが辛くなく、真実ではないと確信できることを題材にしたいと考え、アブダクションを信じる人を研究対象にした。つまり、彼女は始めから宇宙人が人間を誘拐などしたことはないという前提で、「なぜ人はあり得そうにないことを信じるのか」という研究について主張を展開する。彼女によれば、アブダクションを信じているほとんどの人は、体にとても異常な面があったり、寝ている時に物凄い恐怖体験をしたり、(記憶のない空白の時間など)理解できないことがあり、相当な精神的負担を抱えているということが共通しているそうだ。彼らは「痛みや悩みの根源を理解したい」と願い、催眠術にたどり着き、催眠によって「失われた記憶」を思い出し、誘拐されたと信じている。 しかし著者は、人間の記憶の脆さを指摘する。過去について細かに思い出そうとすると、人は記憶を「取り出す」のではなく、「再構築する」力しかないと主張している。だから想像したこともまるでそれが真実に思えてくるのだそうだ。催眠術を使わなくても、宇宙人映画を見たり、アブダクション体験記などを読むと、自分の経験した不可思議なことの原因は、「きっと誘拐されたに違いない。そしてその時の記憶を消されたに違いない」と思えてくるそうだ。 こんな彼女の巧みな論調に、思わず納得させられてしまった。彼女は、アブダクションを信じることと、信仰を持つことに共通点があると言う。宇宙人も神も、目に見えない存在であり、私達よりも優れた力を持ち、私達を見てくれているという考えは、「人間の願いの表れであり、そう思うことでとても支えられている人々がいる」と論じている。 とても面白い研究題材であり、分かりやすく書かれていたので星5つ。
18 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
記憶の不思議,
By 夢見る占術卵 (北海道) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF) (文庫)
ハーバード大の心理学者である著者が、「人はなぜ誤った記憶をつくリ出すのか」をテーマにアブダクション(エイリアンによる誘拐)された人々を取材し研究したもの。エイリアンは存在しないのだから、エイリアンにアブダクションされる事はないはず。なのにエイリアンにアブダクションされたという記憶を持っている人々がいるのは何故なのか? アブダクション体験自体は、実は睡眠麻痺という医学的に説明可能な現象なのだそうだが(日本では金縛り体験がそれだと思われる)なぜ、数ある説明的なシナリオの中から「アブダクション」という説明を多くの人が選択したのか?この説明も非常に興味深かった。 多くのアブダクティは催眠療法やセッションを受けて記憶を得ているようだが、 十数年前、日本で放送されていたUFO関連番組では盛んに「催眠によるミッシングタイム(空白の時間)に関する記憶の回復」が紹介されていたけれど、その頃から「催眠による誘導」の結果偽りの記憶が生じるのではないか?と指摘はされていた。日本では「催眠療法(もしくは催眠セッション)」は一般的ではなく、その辺りの文化の違い―日本の場合は睡眠麻痺は「金縛り」という現象であると納得しているからかもしれない―もあって「アブダクションケースの報告」が米国では異常に多く、日本では少ないのかもしれない。 (催眠療法を受けなくても)「(本来は無い)記憶を作り出す」ことができ、「記憶を塗り替える」ことができる。人間の記憶の曖昧さと不思議さが面白かった。
15 人中、13人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
人間の記憶の不思議さを感じさせられる本,
By
レビュー対象商品: なぜ人はエイリアンに誘拐されたと思うのか (ハヤカワ文庫NF) (文庫)
アメリカでは、自分がエイリアンに誘拐されたと信じている人(アブダクティー)がおおぜいいるそうだ。しかし、実際にアブダクションが起こったという体験談以外のきちんとした証拠はない。だから、アブダクションもなかったと考えるのが妥当だろう。本書の著者もなかったと考えている一人。アブダクションにまるで興味がなかった彼女は、記憶の研究を行なっていた心理学者で、もともと性的虐待をうけたという記憶を「回復した」被害者を対象に研究を行っていた。だが、性的虐待の被害者の話を聞くのは精神的に苦痛だし、また、虐待の加害者の仲間扱いをされてたいへんな思いをする。そこで、アブダクションなら絶対ありえないだろうと、アブダクティーを募集することになったという。しかし、知り合ったアブダクティーたちは、想像していたよりずっとごく普通の人たちであることに驚くことになる。本書でとりあげられているのは、いったいどんないきさつでエイリアンの研究をすることになったのか?/なぜエイリアンに拉致されたと信じるようになるのか?/もし起きていないなら、なぜ記憶があるのか?/アブダクションの話は、なぜこれほど一致しているのか?/どんな人が誘拐されるのか?/もし起きていないなら、なぜ起きたと信じたがるのか? という疑問。「なぜアブダクションの記憶が形成されるのか」というという問いに著者が出した答は、睡眠麻痺や催眠下での偽りの記憶の形成など。それが、実際にアブダクティーたちの偽りの記憶の形成のしやすさの実験で検証されている。 アブダクティーのさまざまな証言や、自分の体験談が収録されて、おもしろく読みやすい。なによりも、「そう信じることでアブダクティーは何を得るのか」という議論には、いろいろ考えさせられた。人間の記憶の不思議さをあらためて感じさせられた。
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