本書の冒頭の「はじめに」で、「否認」がもたらす危険性が唱えられていて、非常に説得力がある。
「目の前の現実を認めない」という態度=「否認」が危機の原因だという。
「否認」の本質は、「明白な事実と向き合いたくないから無視すること」と書かれてあり、そういった心理状態は誰にでも経験があり、陥りやすい心理だからこそ理解しやすい。
本書は、具体的にフォード社、タイヤ業界の各社、デュポン社等を実例にあげ、第一部で「現実を見誤る」、第二部で「真実を見極める」の2部構成で企業や経営者が本来「避けられた失敗、また当然避けるべきであった失敗を犯すケース」が紹介されていた。
本書の中の8つの教訓は、「経営者・企業」にとどまらず、政府関係者・東電関係者達にも大震災・福島原発問題が起きている今だからこそ訴えたい教訓と思えたので、そのまま引用して書かせていただく。
1.手遅れになるまで危機をもたない
2・事実を曲解しても、待ち受ける現実は変わらない
3.権力は人を狂わせる
4.経営陣は、悪い知らせを聞く耳を持つ
5.長期的な視野に立つ
6.バカにしたり、歪曲した言葉遣いには要注意
7.隠すことなく真実を語る
8.失敗は、常識に囚われることから始まる
本書内に書かれている重要な言葉やセンテンスは、太字で強調されていて、翻訳もののビジネス書としては大変読みやすいし理解しやすかった。
専門用語の多用や難解な言い回しも少なく、良書だと思う。
企業経営者の方だけにとどまらず、人生の指南書としても、人間性を磨くための書として読んでも役に立つような気がする。
「木を見て森を見ず」という言葉が、本書を読んでいたら思わず浮かんだ。