日本では事実に基づいて建設的に議論せず、「フランスの出生率が高いのは移民のせい」「非嫡出子への差別をなくせば子供は増える」という愚劣な都市伝説を粘着主張する向きが多いので、そうした意味で当書のような冷静に事実を確認するスタンスの本は貴重である。また、日仏の差異として男女の意識の問題を取り上げているのも好感が持てる。(政治的に偏向した人々は、どちらかの性別に責任転嫁したがる)
○フランスの高出生率における「移民要因」は非常に小さい
○フランスでは非嫡出子が増えはじめた時期に出生率が低下した事実あり
○フランスにはカップルを形成し易い(強要する?)文化がある
○フランス女性は、働かないと見下される(特に高学歴の場合)
○フランス女性は、働かないと経済的余裕を失う
○フランス女性は、日本と違って夫婦でも独立生計を強いられる
といった指摘は貴重である。詳しくは通読されたい。
惜しいところとしては政策と税制の問題に余り触れていない点である。
手取り給与の低さやCNAF(家族給付全国公庫)も記載して欲しい。
しかし全体的に、横田増生氏の著書よりは政治的に中立だと思う。