本書のテーマは、企業の業績を向上させる処方箋に関する研究の誤謬である。
筆者は、これまでに書かれたビジネス書の多くは、研究方法や解釈に決定的な誤りがあると主張する。ベストセラーとなった「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」も同様で、結果を鵜呑みにできないと言う。主張の根拠は、第一に、これまでの研究は業績の良い企業のやっていることは全て良いことと考えてしまう傾向があること。第二に、相関関係を因果関係と混同してしまうこと。例えば、従業員満足度が高いと業績が良いという解釈は、業績が高いから従業員が満足しているという解釈も可能だ。第三に、成功の理由を1点に帰結するように考えてしまうことである。顧客満足を追求したから業績が向上したという説明はあまりにも単純だが、そうした主張は多い。
筆者の指摘は非常に説得力がある。バイブルのように読まれているビジネス書に大きな欠陥があることをビジネスマンに提示した点は大きな貢献と言えよう。但し、それに変わる業績向上のための筆者の処方箋は、かなり頼りない。成功した企業の共通点を示しており、自分自身が指摘してきた誤りを自分でも犯している。
本書は、経営者・ミドルマネジャーにとって必読の書に上げてもよいのではないだろうか。「エクセレント・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー」「ビジョナリー・カンパニー2」を読んでおくと、筆者の主張が理解しやすい。
非常にインパクトの強い本だ。