トップ・ストラテジスト北野一氏、待望の初の書き下ろし。
週刊ダイヤモンドの連載はあるが、まとまったビジネス書として改めて読むと、北野一氏の
審美眼の確かさ、ぶれない洞察力、そして驚異的な読書量から生まれる知識には、舌を巻く。
株主資本に言及する第一章も素晴らしいが、第二章でニクソン・ショック以降、金利に敏感
だったのは不換紙幣時代の不確実性によるというくだりは、目からウロコである。さらに、
グリーンスパン氏との見解の相違を堂々と述べているのも頼もしい。
また北野一氏には、比喩を用いて難解な問題を判り易く説明する特技がある。バブルの真の
原因をガス爆発で例えたり、過剰三兄弟の中身の違いをみにくいアヒルの子の話で説いたり、
原油やサブプライムの過大視を恐竜の目は動くものしか見えないからと論破したりしている。
この才能は、村上龍氏との「おじいさんは山へ金儲けに」やJMMのコラボレーションでも
既に垣間見えていた。このお陰で、読者は難しい問題を随分楽しい気分で読むことが出来る。
日本経済界にまさにユーザーフレンドリーに立脚した「金融の国際派論客」誕生の感がある。