「ルポ・日本の生物多様性」に続く、野生動物保護の現場を丹念に歩いたルポルタージュで、週間金曜日連載の記事を再編したものです。
最近ではこの手の記事は世に少なくありませんが、一般受けをねらってか筆者の理解不足を隠すためか、一方的な理想を叫んで見みたり、いたずらに善悪対立の構図を煽ったりするものが多く目につきます。
対して著者は、丹念に取材を重ねる正攻法で、問題を深く深く掘り下げていきます。正に痒いところに手が届く感があり、かつ、一方の主張のみを押しつけることもしません。
こういうバランス感覚に優れ、かつ自然への深い理解と洞察を持ったルポライターがあと数人いたら、この国の自然保護報道も、事件記事やお涙ちょうだいレベルから脱皮できるのですが。せめて受け手がそういった記事に踊らされないようにするためにも、野生動物の保護に関心を持たれる方は、この本を読むことをお勧めします。