物事(システム)の全体構造を理解するためには、全体を構成する各要素を理解するだけでなく、個々の要素間の関係性および時間経過の影響に注目する必要があります。こうした「要素の関係性」や「時間経過」を考慮する思考法が「システム思考」です。(一言で要約するとすれば「連立微分方程式を図解したようなモノ」です) 本書では、物事(システム)の問題が「要素の関係性」から生じる主な場合(パターン)について紹介し、その解決例(e.g. "レバレッジ")について平易に説明しています。この"レバレッジ"は、まさに「着眼大局、着手小局」の好例となっています。
各要素間を繋ぐ"因果ループ"の描き方の説明は分かり易いですね。(補足:矢印(→)の種類(正・逆)の説明では、正を+、逆を−と読み替えましょう。そうすれば、因果ループに沿って+/−の掛け算した結果、全体の符号が+なら"自己強化型"/−なら"バランス型"と容易に判別できます)
本書のようなシステム思考が身につくと「風が吹けば桶屋が儲かる」ような話を因果ループで説明したくなります。(^-^) 本評者は「極端な食餌制限ダイエットは初期には効果を現すが、(油断すると)リバウンドしてしまう」という例を因果ループで描いてみました。(ヒント:食事量、基礎代謝量、脂肪量...) こういう考え方に慣れれば、単なる相関関係が因果関係ではないことが良く理解できるようになれます。そして「ナゼを5回繰り返せ」「"原因"の向こう側に"真因"が隠れている」という大野耐一氏(トヨタ)の教えは 実はシステム思考との相性が良いんだなぁと納得した次第です。(ここでネットワーク科学の"Small world"を想起するのも一興です)