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5 人中、5人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
精神的に疲れる,
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レビュー対象商品: なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論 (単行本)
中身はエッセイなのだが、サブタイトルからしてもう少し堅い内容なのかと思った。一部の知識人やネット掲示板への批判が、現れては消え、消えては現れる。本筋はそうではないのだが、とにかく目立つのだ。匿名掲示板の事は、それほど気にしなくてもいいんじゃないかと思う。 筆者が強迫神経症的だと自覚しているように、自分の周りにバリケードをつくっておいてから執拗に責め立てるのが目に付く。 軟弱者の私としては、他者に繰り返される罵詈雑言を読んでいるだけで気が滅入ってきた。夜中に隣人の喧嘩を聴いているような、あのイヤな感じにも例えられようか。 相互理解の大切さを説きながらも、バカには何を言っても通じないということをトクトクと申されているようだ。筆者のほかの本は良かったのだけれど、本書は私には合わなかった。 レビューを書くのはおこがましいが、読後の後味がよくない。そういう効果を狙った本だとすれば一本取られた感じだが。
10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
まともに話ができるやつがいないのかという怒り,
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レビュー対象商品: なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論 (単行本)
「哲学・思想エッセイ」と聞くと、本来は合間見えそうにないはずのその二つの言葉の合わさった響きが奇妙に聞こえるわけだが、読み終わった今、この本を一言で表現するならばまさに「哲学・思想エッセイ」という言葉がピッタリくることがわかる。この本は哲学思想史を専門とする著者が自身の身の回りでおきた「話」が通じなかったエピソードを後日談として―怒りも交えて―語り(エッセイ)、その原因を哲学・思想の観点から考察するという形式をとっている。筆者が論じる「話が通じない相手」とは、単純に耳を貸さないヤツだけでなく、一見コミュニケーションが出来ているように見えても、議論は平行線をたどっているだけで、実はまったくできていない(中島梓はそれを「コミュニケーションと言う名のディスコミュニケーション」と呼んだ)ヤツや、相手の話している文脈のそのすべてを追うことなしに、センテンスの中のある一単語にだけ敏感に反応して激烈に反論してくるヤツのことでもある。そんな「話」の通じない輩―筆者曰く「パブロフの犬」、「ワン君」―は、老若男女、どの階級、どの学歴にも存在するらしい(この本を読んでいると、むしろ知的な階層ほど多いのではないかという気さえしてくる)。 筆者はこのワン君が増殖した理由を、「小さな物語」の増殖に求めている。マルクス主義という「大きな物語」が信用されなくなった以降(ポストモダン)、みなが好き勝手に「小さな物語」を作り始めた。その個々人の「セルフ物語」は一旦その個人の中で強固に整合性を持ち始めると、なかなか改編できる代物ではない。さらに、その本人の中では誰もが共有できる「大きな物語」だと思っているのだからたちが悪い。そんな異なった「物語」をもった者同士で議論となり対立が生まれたとしても、それは弁証法のように何か発展性のある対立にはならず、議論は結局はただのいがみ合いになってしまうのだと筆者は説く。 こんなふうに筆者は「話」が通じなくなった理由を、少々歯ごたえのある哲学史をからめて説明してくれるのだが、本文にはたびたび彼が忌み嫌う「ワン君」たちへの忠告が挟まれる(そういえば彼の『わかりやすさの罠』にもたくさんあったなあ)。いちいち挟まれているそれらを読んでいくと、よほどこの人はネット上で嫌な思いをさせられてきたんだなあと、想像してしまうわけである。察するに、彼がこの本を書き上げた根本的なモチベーションになっているのは「なんでこうもまともに話ができる/聴けるヤツがいないんだ!!」という悲壮感と怒りの気持ちだろう(筆者は否定するかもしれないけれど)。この本が、哲学・思想オタクのためだけの閉じた内容になっていないのは、その悲壮感や怒りが「エッセイ」へとうまい具合に還元さているからではないだろうか。 筆者本人が述べていることだが、彼は少々強迫神経症気味らしい。今の時代、このようにまともな「話」をしようと心がける人間ほど病を患ってしまうものなのかもしれない。
14 人中、12人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
やがて自らへと...,
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レビュー対象商品: なぜ「話」は通じないのか―コミュニケーションの不自由論 (単行本)
なぜ話が通じないのかについて、そこにはことさら深い秘められた理由があるわけでもなく、ただ単に話をまともに聞けないからだということに尽きる...というと身も蓋もないが、人が話していることをきちんと聞いて対応するということは基本中の基本であるにも関わらず、意外に大変なことなのかもしれない。細部や論旨を見ないではじめから反対の立場に立っていたり(二項対立)、一部のキーワードだけに過剰反応して大局を見失ったり(言霊信仰)、そこで語られていることではなく語っている人に対して攻撃したり(対人論証)等等、本書ではひとがいかに話が聞けないかがこれでもかと畳み込むように語られていく。最初は著者の体験に基づく毒舌ぶりに中てられながらも話の展開についつい引き込まれるが、気がつくとだんだんその刃が自らに向かってくるような恐ろしい本である。
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